2022年6月14日に開催されたデジタルガレージが主催するグローバルカンファレンス「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2022」。「web3 Summer Gathering」をテーマに掲げ、世界中からキーパーソンが集まり、web3の未来について多くの議論を交わした。web3への期待が集まる一方で、セキュリティーやUX(ユーザー体験)などに多くの課題があり、それに対応する規制の在り方は、今まさに模索されている最中だ。その中で、日本においてweb3を推進するためには、どのような政策が求められるのだろうか。初代のデジタル大臣で自民党デジタル社会推進本部長の平井卓也氏は、税制見直しへの意欲を示した。

 日本政府は、6月7日に発表した「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」で、web3の環境整備を進めると明記した。また、岸田文雄首相もさまざまな会見でweb3に言及しており、総理が提唱する「新しい資本主義」にもつながる成長戦略の一つとしてweb3は認識されている。

 自民党デジタル社会推進本部長の平井卓也氏は、現在の党での取り組みを次のように説明する。

 「我々は、1月にNFTプロジェクトチームを立ち上げ、22年3月に『NFTホワイトペーパー』としてまとめた。国の推進体制の構築や利用者保護施策などの提言を整理したものだ。これを基に、政府に働きかけ、デジタルフレンドリーな法律体系に変えていこうとしている」

自民党デジタル社会推進本部長の平井卓也氏
自民党デジタル社会推進本部長の平井卓也氏

 デジタル改革を進めるには、各省庁を横断して進める必要がある。政府も模索しながら、規制改革、税制の見直しを進めているところだという。「デジタル資産という新しい価値に我々も期待しているが、その安全性にはまだまだ問題がある。日本がこの分野で役に立てるとすれば、細かな心配ごとを整理する能力だ。心配ばかりでは前に進めないが、大きく足をすくわれないようにするのが我々の役目だと考えている」(平井氏)

 現在の税制の下では、多くの有望なスタートアップが海外へ拠点を移してしまっているのが現状だ。web3の事業を立ち上げる際に発行するガバナンストークン(通常の企業の株式のようなもの)への課税負担が大き過ぎるためだ。平井氏は「ガバナンストークンに対する課税の仕組みはどう考えてもおかしい。web3に最適な環境を整えて、世界の起業家にweb3を日本で始めようと思ってもらえるようにしたい」と改革に意欲を示した。

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