大日本印刷(DNP)が提供する「DNPテストマーケティング支援サービス」の機能の一つ、「AI売上予測システム」が機能拡充した。2021年にユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングとリアル店舗で実証実験を実施。POP(店頭販促)のデザイン要素などを加味して、商品棚作りのシミュレーションや売り上げ予測ができるようになった。導き出した「売れるPOP」の条件とは。

POPのデザインは、どれほど売り上げに影響するのか?
POPのデザインは、どれほど売り上げに影響するのか?

 大日本印刷(DNP)は2021年1月から「DNPテストマーケティング支援サービス」を行っている。主にメーカー向けの提供を想定しているサービスで、売り上げ予測によるコンサルティングやリアル店舗でのテスト販売、生活者や個人事業主へのテストセールス代行などを行うものだ。22年4月からはDNPエスピーイノベーション(以下、DNP)が事業を行っている。

 サービス開始から1年を経た22年3月、DNPはユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング(以下、ユニリーバ)との共同実証実験により、同サービスの機能の一つである「AI売上予測システム」の精度向上と機能拡充を図ったことを発表した。

 従来のAI売上予測システムは、商品の店頭価格や棚割り(商品が棚に置かれる位置)、店頭販促の有無などによる売り上げの変化をシミュレーション。そこに他社商品との競合状況や販促ツールなど、トータルでの施策を加えた際のPI値(Purchase Index値、レジを通過した顧客1000人当たりの購買指数)を予測するものだった。今回の実証実験を経て、こうした機能に加え、店頭POPのデザインがどのように販売動向に影響するかを予測する機能が組み込まれた。

 実証実験は21年6月から8月末の期間で、ユニリーバのシャンプーやコンディショナーなどのヘアケア商品34品を対象に、DNPの協力先であるハシドラッグ(福島市)で行われた。来店客の性年代比率や売り場面積、ヘアケア商品の品ぞろえが似ている3店舗を選出したという。

 実験の方法は、背景色やフォントの太さなど、どのようなPOP上の要素の変化があると売り上げに影響があるのか、AIによるシミュレーションにかけ、事前に仮説を立てる。その仮説を基に既存のPOPに変化を加えたものを実際に店頭へ設置し、その都度POS(販売時点情報管理)データを分析するというもの。実証実験から分かったPI値を基に、売り上げに影響を与えるデザイン要素が判明し、また、それらのデザイン要素を加味した売り上げ予測が立つようになった。

 今回の実験から分かった売り上げに影響するデザイン要素は3つだ。POPのデザイン要素においては「ベースカラー」「フォントの大きさ」「フォントの太さ」が、特に店頭売り上げに影響するという検証結果が得られた。

「補色」が視認性を高める

 まずはベースカラー。LUXスーパーリッチシャインの既存のPOPデザインは商品パッケージと同系色の金色で展開されていたが、補色関係にある黒色に変更した。このようにベースカラーに補色を用いることで視認性が高まり、売り上げが上がる傾向が見られたという。

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