「Web3」はマーケティングに生かせるか? 第2回

Web2時代に爆発的に広がり、コミュニケーションの中心となったSNS。では、Web3時代にSNSはどうなるのか。企業と人、人と人、Web3の技術や概念でコミュニケーションがどう変わるのかに注目する本特集。第2回は、Z世代を中心に若者に人気を集めるコミュニティーサービス「Yay!(イェイ)」を展開し、Web3参入を表明しているナナメウエ(東京・港)代表の石濵嵩博氏に、目指す未来を聞いた。

現在のコミュニケーションの中心となっているSNS。Web3時代にどうなるのか。そして企業はどう活用すべきか(画像/Shutterstock)
現在のコミュニケーションの中心となっているSNS。Web3時代にどうなるのか。そして企業はどう活用すべきか(画像/Shutterstock)

 Web3時代にSNSはどうなるのか――。

 Web3の技術や思想を取り入れるサービスが広がることで、人と人、企業と人のコミュニケーションが大きく変わる可能性があると、特集の第1回で紹介した。では、今のコミュニケーションの中核ともいえるSNSはどのように進化、もしくは変化していくのか。

 Web3時代のSNSを目指す動きは既に始まっている。国内で“Web3参入”を明言しているのが、「Yay!」を展開するナナメウエだ。

 Yay!は、2020年1月にスタートしたアプリで、「すべての人に居場所を」をコンセプトに、累計登録者数は550万人を突破。1日の投稿数は300万を超え、利用者の実に約80%がZ世代であるというように、若者に支持を集めている。

 一般的なSNSのように投稿ができるだけでなく、グループでのリアルタイム通話や趣味の仲間で集まる「サークル」機能の利用が活発なのが特徴。匿名制ではあるものの、書類による年齢確認に加え、AI(人工知能)と人による投稿の監視、世代の離れたユーザーとのやり取りがしにくい設計にするあるなど、安全対策も施している。

Yay!は、チャットやグループ通話、サークル機能など多様なコミュニケーション手段を用意
Yay!は、チャットやグループ通話、サークル機能など多様なコミュニケーション手段を用意

 Yay!は、一見すると現状のWeb2時代に花開いたSNSサービスの一種ではある。だが、22年4月6日、ナナメウエは16億円の資金調達とともに、Yay!のWeb3化を目指すと発表。特集の第1回でも触れた“トークン”を活用し、次世代のSNSづくりに動き出すことを宣言したのだ。

 そこで今回は、なぜSNSのWeb3化が必要なのか、そしてSNSはどう変わる可能性があるのか、ナナメウエ代表の石濵嵩博氏に聞いた。

現状のSNSの課題を解決するためにWeb3化が必要になる?

――なぜ、SNSをWeb3化しようと考えたのでしょうか。

石濵嵩博氏(以下、石濵)  Yay!は、「メディア化しないSNS」と言っています。現状のSNSは、自分で投稿をするよりも、インフルエンサーさんの投稿などを見るのが中心になりつつあり、ある種の息苦しさを感じている人も少なくないと思います。

 そこで、気軽に本当の自分を出せるように、同じ趣味趣向を持っている人や同じ年代の人同士が集まりやすい場として、Yay!をつくりました。自分が思っていることを表現したい、好きなことを好きと言ってもいい、そんなプラットフォームを目指しています。

 また、今のSNSはご存じの通り、いろんな問題が起きています。誹謗(ひぼう)中傷もその一つ。もちろん、誹謗中傷を支持するわけではありませんが、単純に運営元が表現の締め付けを強くすればいいのか、難しいところではあります。アカウントを停止するなど、プライバシーまで阻害して管理することが正解なのかも議論があるところでしょう。

 基本は、何かを表現するという行為自体は、僕は守られるべきだと思っています。そのうえで、多様な価値観を許容し合う、認め合うことが大切。ですが、現状のSNSは基本的に、運営側が中央集権的にサービスを管理しています。運営側の考え方や社会的な要請などにより、投稿内容やアカウントの存続そのものまで管理せざるを得ない状態になっています。

 そこでできるだけ中央集権的な管理を薄めていき、透明化していくことを考えました。それを実現するためのツールが、Web3です。

ナナメウエ代表の石濵氏
ナナメウエ代表の石濵氏

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