次世代の分散型インターネットといわれる「Web3(ウェブスリー)」。新規参入を目指す企業が知っておくべきWeb3ビジネスの「4つのレイヤー構造」とは何か。ブロックチェーン開発のGinco(ギンコ、東京・中央)を率いる森川夢佑斗代表が解説する。

(写真/Shutterstock)
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 近年、新しいテックトレンドとして注目を集める「Web3(ウェブスリー)」。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いることや、従来のインターネット産業へのカウンターカルチャー的なトレンドであることは、ご存じのことかと思います。

 一方、Web3の実態を調査する中で触れることができるのは、事例紹介と理想論的な内容、それらに対する批判的な問題提起が多く、その本質や概要をつかむことが難しい状況にあります。

 こうした状況を踏まえ、前回の記事では「Web3とは、金融的な機能を有するデジタルアセット(トークン)を従来のWebサービスと組み合わせることで、サービスの成長速度を速める手法である」と紹介しました 関連記事:結局、「Web3」とは何なのか? ブームの3つの背景と、理想と現実

 ポイントは、トークンを発行する企業はファイナンス(資金調達)的な側面とマーケティング的な側面の両面で効果を得られ、成長速度を飛躍的に加速させることができるという点です。

 すでに、インターネットの普及とともに巨大化したGAFAM(グーグル、アップル、旧フェイスブック:現メタプラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)などのプラットフォームに対する批判的な感情や、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う社会のデジタル化の機運を背景に、Web3のムーブメントは急拡大を続けています。

 そこで今回は、前回紹介したWeb3の本質に続く2つ目のポイントとして、この業界の全体像とレイヤー構造について解説していきます。

Web3を構成する4つのレイヤーとは?

 複雑化した今日の社会では、ほとんどの業界が階層=レイヤー構造のように折り重なり、それぞれが強みを生かし合うことで産業を盛り上げています。Webの世界でも同様で、OSI(Open Systems Interconnection)参照規格のように技術スタックの階層化が行われています。

 実は、一見すると複雑な構成要素が絡み合っているように見えるWeb3やブロックチェーンの世界も、レイヤーで分けて捉えることで全体像が理解しやすくなります。

 まずブロックチェーンは、暗号資産などの価値を持ったデータ(=デジタルアセット)をインターネット上でやり取りするための技術として誕生しました。それが発展し、プログラムを書き込めるイーサリアムが誕生したことで、NFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)、DApps(非中央集権型アプリ)といったアイデアが誕生し、ブロックチェーンを利用した様々なユースケースが発展してきました。

 まとめると、土台にはインターネットの技術があり、その上に広がるブロックチェーンネットワークの上でデジタルアセットが流通しており、それを活用したゲームやマーケットプレイス、参加者が何らかの対価として暗号資産の報酬を受け取れる「X to Earn(X2E)」サービスなどのユースケースが積み重なっているということです。

 では、ブロックチェーン上に広がるWeb3の世界をもう少し踏み込んで解説していきましょう。現在、Web3の世界は「プロトコル」「インフラ」「ユースケース」「コンテンツ」の4レイヤーに整理できます

Web3の4つのレイヤー(出所/Ginco作成)
Web3の4つのレイヤー(出所/Ginco作成)

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