4割以上の企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)部門を設立しているが、マーケティング担当など事業部門との連携で頭を悩ませている――。マーケ分析のWACULがマーケティングDXの実態調査を実施すると、そんな姿が見えてきた。今回は「特別編」としてこの調査結果を紹介していこう。

組織横断で設立されたDX部門と、マーケティング担当など事業部門との間で、仕事を進める上でのズレを感じるという声もある(画像/Shutterstock)
組織横断で設立されたDX部門と、マーケティング担当など事業部門との間で、仕事を進めるうえでのズレを感じるという声もある(画像/Shutterstock)

 メルマガの配信やネット広告、アプリやSNS(交流サイト)の各種施策、OMO(オンラインとオフラインの融合)まで。今やマーケティングとデジタルは切っても切り離せない。プライバシー保護の規制が広がる中、企業が持つ顧客のファースト・パーティー・データをうまく施策に生かすには、デジタル化の投資が必要となる。

 そうした中、マーケティング担当など事業部門(以下、事業部門)のデジタル化を支援する組織横断のDX部門(以下、DX部門)を新設する企業が増えている。ただ、一部の企業からは、このDX部門と事業部門との連携で課題を抱えているという声も聞こえてくる。

 何が壁となっていて、どう解決を目指すべきなのか。本連載の著者で、WACUL代表取締役に就任した垣内勇威氏が中心となり、マーケDX組織調査の研究リポートを公開した。今回は「特別編」としてその一部を抜粋して紹介する。

▼関連リンク(クリックで別ページへ) 【マーケティングDX部門に関する実態調査を実施】4割以上が「DX部門」を設立するも、事業部門との連携に課題を抱える実態が明らかに。「作業支援」を求める事業部門に対し「全体最適」を望むDX部門で認識のズレが顕著 ~連携において「人間関係に課題あり」がDX部門は2割だが、事業部門は5割と高い傾向~

 近年は、世界的に最新鋭のIT技術を活用した製品、サービス、ビジネスモデルが続々と生まれ、市場がめまぐるしく変化している。ビジネスの現場でもこうしたIT技術を活用することによって、ビジネスモデルそのものや事業オペレーションの変革を起こす、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっている。

 そうした環境変化を受けて、経済産業省は2018年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置。同年9月に『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を発表した。この中では、25年には既存システムの老朽化や人材不足が顕在化し、DXが実現しない時には日本全体の経済損失は年間最大12兆円にのぼると試算している。

 DXの重要性が企業に徐々に浸透しつつある中、企業はその重要性を徐々に認識してきていたが、新型コロナウイルスの感染症拡大がこの流れを加速させた。これまで以上に様々なビジネスや組織で「DX」が必要とされている。特に、コロナ禍においてリアルでの接点を失った企業は、マーケティングDXの必要性を強く感じるようになった。

 そんな中、大企業を中心に、事業全体を横串で通し、組織横断でマーケティングDXを進める部署(デジタル推進組織)の立ち上げが進んでいる。しかし、こうしたDX組織は必ずしもすべてが成功しているとは言えない。

 WACULでは、企業のDX専門部門に対し、マーケティングのDXコンサルティング支援を提供する中で、DX部門と事業部門との連携に課題があるケースが多いことから、同様の課題が多くの企業で起こっているのではないかと考え、DX部門と事業部門の協働に関する認識や、連携を取る中でどのような課題を抱いているのかなど、認識のズレを明らかにするためにアンケート調査を実施した。

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