メルマガをはじめ、多くの企業が実践しているメールマーケティング。「送りすぎは、解約率を高める」「送るタイミングを吟味して、読まれるときに送る」などノウハウやテクニックが語られることは多い。だが、なかには情報が古く、最新のユーザー行動に即していないケースもある。メルマガを取り巻く誤解や、成果を出すメルマガ活用術とは? メールマーケティングやメルマガ活用でありがちな誤解をひもときつつ、成果の出やすい最新の活用術を専門家が解説する。

(本稿は、2022年5月20日に実施した日経クロストレンド・カレッジ「SNS時代の『メルマガ』新常識」の一部を抜粋したものです)

販促メルマガにまつわる6つの誤解を、識者が明かす(写真/Shutterstock)
販促メルマガにまつわる6つの誤解を、識者が明かす(写真/Shutterstock)

メルマガ担当者が知っておきたい「6つの誤解」

 メルマガやメールマーケティングに取り組む企業は多い。しかし、実は誤った解釈により、もったいない運用をしているケースもあるという。実際によくある「誤解」とは次の6通りだ。

【メルマガ、メールマーケティングのありがちな「6つの誤解」】
  • 誤解① 頻度を高くすると、嫌がられて解除される
  • 誤解② 送るタイミングを吟味して、読まれるときに送る
  • 誤解③ いいコンテンツを作れば、読んでもらえる
  • 誤解④ 配信リストは多いほうがいい!
  • 誤解⑤ ターゲティングは細かくしたほうがいい
  • 誤解⑥ 気づいてもらうために、目立つタイトルにしたほうがいい

 一見、どれも正しそうに見えるが、何が誤解なのか。マーケティング支援企業WACUL(ワカル)の代表取締役である垣内勇威氏と、メールマーケティングエバンジェリストの安藤健作氏と共に、よくある誤解から絶対に押さえておきたいメール活用時のポイントを見ていこう。

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どれぐらいの配信頻度がよいのか

 まずは「配信頻度」について。しつこくメールを送ると配信解約されるのではないかと心配になるかもしれない。だが、それは思い込みだという。実際に、配信頻度と購読解除に因果関係がないことは、安藤氏と垣内氏が共同で実施した調査からも明らかになっている。

 「購読解除の理由は、配信頻度よりもコンテンツと読者ニーズのアンマッチの影響の方が大きい。読者ニーズと合致していれば、週1、2回配信したとしても、購読を解除されることはない」(安藤氏)

 むしろ、配信頻度を上げた方が成果につながりやすいと安藤氏は説明する。

安藤 健作 氏
メールマーケティングエバンジェリスト
早稲田大学卒業後、小売業勤務を経て2006年にラクス入社。同社でサポートチームを組織化した後、マーケティングマネジャーを経て、16年よりメールマーケティングエバンジェリストとして活動。正しいメールマーケティングを日本に根付かせるため、様々なメディアやTwitterにて日々情報発信中。22年にWACUL入社

メールはネガティブな要素が少ない連絡手段

 昨今、LINEをはじめ顧客とつながることのできるツールは増えているが、あまたあるツールのなかでも、メールは比較的配信コストがかからず、企業が取り組みやすいものと言える。またメールは顧客とほどよい距離感を保つことができ、他のツールと比べてネガティブな要素が少ないのも特長だ。例えば電話は、一回受けてしまうと切りにくいなど心理的な理由が弊害になりトラブルになるケースもあるが、メールであれば、顧客が好きなタイミングで開封したり返信したりできるため、電話に比べるとクレームにつながることは少ない。

 こうしたメールの特性は、バナー広告と通じるものがある。バナー広告は、ページに表示されはするものの、興味を持った人が押すもので強制感はない。「メルマガもそんなバナー広告のような位置づけをイメージし、活用するといい」と垣内氏は語る。

いいコンテンツを作っても、読んでもらえない

 メルマガの「コンテンツ」は、時間をかけて作り込めば、読まれると思うかもしれないが、実はこれもよくある間違いだという。

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