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 共通ポイントを中心にネットや通信の大手が拡大を競う「経済圏」が、消費者のデジタルサービス選択の決め手になりつつある。先頭を走る楽天グループを、PayPay擁するZホールディングス(HD)が急速に追い上げ、将来の勢力図の変化を予感させる動きも見えてきた。

 調査会社のMMD研究所が2022年7月15日~7月20日にかけて、共通ポイントを中心にした経済圏をテーマにアンケートを実施した。同社は共通ポイントに加えて、QRコード決済や電子マネーといった決済手段、これらを使える場所から成るサービスの集合体を「経済圏」と定義する。MMD研究所の吉本浩司代表は「共通ポイントはいわば経済圏における通貨。それをためたり使ったりする手段が決済だ」と説明する。そのうえでネットと実店舗双方で共通ポイントなどを使える場所の規模が、経済圏と呼ぶべきサービス群には欠かせないという。

 同社の定義に合う経済圏は5つ。NTTドコモ、au(KDDI)、PayPay(Zホールディングス)、楽天(楽天グループ)、イオンだ。EC(電子商取引)や金融、コンテンツなど何らかのデジタルサービスを選んだり使ったりする際に、経済圏の有無や内容を意識するかどうかを調べた。

共通ポイントに強み、楽天経済圏が首位

 サービスを利用する際に経済圏を意識すると回答した人は52.0%。2022年4月に実施した前回の調査に比べて3.5ポイント増えた。サービス自体に加えて、そのサービスが属する経済圏の魅力を選択の決め手にしている消費者が増えていると読み取れる。

経済圏を意識してサービスを利用する人の割合
経済圏を意識してサービスを利用する人の割合
(出所:MMD研究所)
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 では現時点で消費者が最も魅力を感じているとみられる経済圏はどれか。「最も意識している経済圏」を1つ選んでもらったところ、楽天経済圏が46.8%で首位。前回調査に続けてトップだった。

 前回調査から勢いを増しているのがPayPay経済圏だ。最も意識している人の割合は15.1%。前回調査より3.8ポイント増と、最も大きい伸び率を示した。

最も意識している経済圏
最も意識している経済圏
(出所:MMD研究所)
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