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 アサヒ飲料がAI(人工知能)を活用した売り場改革を進めている。スーパーなど店舗ごとの売り上げの潜在力(ポテンシャル)を地域特性に基づいてAIが分析し、販売実績との差分を改善余地と捉え、それに合った販売促進策や棚割構成などを店舗に提案する。

 店舗売り上げを分析するシステムは、インテージの「エリアポテンシャル・サーチ」を採用し、2022年3月に本格稼働させた。店舗周辺の朝から晩までの人流のほか、居住者や勤務者の人口動態、駅までの距離や競合店の数などの立地属性、駐車場の台数や店舗面積などの店舗属性に基づいて、店舗売り上げの期待できる最大値をAIが予測する。

 人口動態は、NTTドコモが提供する8000万台の端末から得られた匿名化された統計データに基づいている。予測モデルはインテージが全国約6000店の売り上げデータを機械学習して開発した。

エリアポテンシャル・サーチにおける商圏特性の分析軸
エリアポテンシャル・サーチにおける商圏特性の分析軸
出所:インテージの資料を基に日経クロステック作成
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商品カテゴリーごとの「潜在力」も分析

 店舗に提案する商品構成や販売促進策、どの商品をどのように陳列棚に並べるか棚割案を立案する際にも、店舗の特性データや潜在力データを使用する。例えば住宅街にある店舗で商圏における20~30代の人口が増加し、大容量ボトルの販売ポテンシャルが増加している場合、大容量ボトルの売り場面積を増やし、小容量ボトルの売り場面積を減らす棚割を提案するといった具合だ。

 炭酸飲料やコーヒー類など細かい商品カテゴリー別に販売金額のポテンシャルを分析し、より細かい提案をすることも可能だ。例えば商業地にある店舗で昼間人口は増えても夜間人口が減少している場合、機能性飲料の販売ポテンシャルが減ると予測する。

「エリアポテンシャル・サーチ」の画面イメージ
「エリアポテンシャル・サーチ」の画面イメージ
出所:アサヒ飲料
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