性別は「グラデーション」 長野県内当事者も語る「実感」 変化する性自認 遺伝子・脳の研究進む

立花教授らの研究チームがウェブサイトで説明している「性スペクトラム」のイメージ図

 男女の性別の境界は曖昧なもので、誰しもその曖昧などこかに位置している―との研究が進んでいる。研究者たちはそうした曖昧な状態を「性のグラデーション(段階的変化)」や「性スペクトラム(連続体)」と呼び、自認する性別が男女の枠に当てはまらないと感じたり、変化したりすることを研究によって立証しようとしている。更衣室など男女を前提とした日常生活の仕組みに悩む人もおり、性を巡る政策や制度作りに発想の転換を求める声もある。

 9月中旬、塩尻市の千葉澄香さん(22)は大振りの襟が付いたブラウスとフレアスカート姿で松本市の中心市街地を歩いていた。就労移行支援所からの帰り道に電車を待つまでの間、駅前の店で洋服を見るのが日課だ。

 千葉さんは、性自認が女性でも男性でもないと感じる「Xジェンダー」。戸籍の性別は女性だが、現在の性自認は男性だ。男性も女性も好きになることがあり、好きな相手の性別と自分の性自認が同じになる。「見た目で女性と判断されたくない。今は男性だと思われたい」と話す。

 性自認が男性だった時の就職活動中、企業で荷物を女子更衣室に置くように指示された。男性であろうと女性であろうと、更衣室