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液体の味“データ化”鳥栖市の企業が装置開発  ダイヤモンドが解析のカギ【佐賀県】

2024/02/27 (火) 18:19

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長年愛されてきた味の継承にも期待されています。最先端の科学技術の研究員らでつくる鳥栖市の企業が液体の味をデータ化する装置を開発しました。宝石のイメージが強いあの物質が、解析のカギになっています。

【リポート・橋爪和泉】
「液体の味をデータ化する機械がこちらです。手のひらサイズで非常にコンパクト、かなり軽いです。たった1分で測定できるということなんです」

その名も“AIソムリエ”鳥栖市にある産総研九州センターの研究員大曲新矢さんが代表を務める「ExtenD」が開発しました。

【大曲新矢さん】
「画像で言うとカメラに対応する、音声で言うとマイクに対応するそういった機器が液体の分野には存在しなかった。液体の状態を瞬時に可視化するような装置としては抜群に優れている」

少量の液体に専用のセンサーを浸すだけで解析することができ、糖度や塩分など成分の測定ではなく、渋み、香りなど人の味の感じ方を数値化するのが特徴です。
商品開発に協力している佐賀市のワインバーは。

【ヴィノバルトッコ 高平登志子さん】
「最初勉強したての頃は何を感じ取ればいいのか分からないどう表現していいかも分からない飲んだらいいかというと、酔っぱらうの繰り返し(笑)ここまで来るのに10年以上かかったが、みんなに『10年以上かけてここまで来い』とはなかなか難しい。勉強の“効率化”を考えるとこういう商品があったらいいなと」

【リポート・橋爪和泉】
「では、人間の舌とデータの数値がしっかりリンクするのか?今回、2種類のワインを飲み比べます!」

まずは1本目のワインから…

【リポート・橋爪和泉】
「酸味というよりは渋みが強いワインのように感じました」
続いて、2本目を飲んでみると?
「あっ、こっちの方が香りがフルーティーな気がする。飲みやすいですね、1本目と比べると2本目の方が酸味が強い」

味の特徴が異なる2本のワイン。
AIソムリエの測定結果を見てみると…
最も高い数値は1本目のワインが「渋み3.28」一方、2本目のワインは「酸味3.51」でした。
また、「香り」を比べると2本目が高い値になっています。

【リポート・橋爪和泉】
「私たち人間が舌で感じた味覚がより具体的に、数字で現れるんですね」

【ヴィノバルトッコ 高平登志子さん】
「うん、驚きです」

なぜ、“液体の味”をデータ化できるのか?
それは、測定するセンサーが大きなカギになっています。

【大曲新矢さん】
「黒っぽく見える部分が“ダイヤモンド”の薄膜が付いている。ダイヤモンドを使用することによって非常に“高感度”に1分程度で非常に質のいいデータが取れる。大きなブレイクスルー(突破口)になっている」

2013年からダイヤモンドを専門に研究を進めていた大曲さん。
ダイヤモンドは高い強度を誇るため、物質の細かい分析に必要な“高電圧”に耐えられる特性に着目したといいます。

【大曲新矢さん】
「大型の理化学機器とか、そういった装置はあるが、小型で、持ち運びができて、しかも高感度・高精度に測定できる味覚の機器が無かった。そこが開発のきっかけです」

縦横5ミリ、厚さは5マイクロメートルの小さなダイヤモンド。
大曲さんはこのセンサーから2.5Vの電気を流すことで“液体の状態”を示す波形の測定を実現しました。

【大曲新矢さん】
「この波形の信号と人間が評価した味わいの評価をAIで結び付けて学習させるのが“AIソムリエ”のコンセプト」

県内のソムリエや大手飲料メーカーなどに様々な液体の味や香りを検査してもらい、測定した波形と人間の味覚をAI技術でマッチングさせ、液体の味のデータ化にこぎつけた大曲さん。

この取り組みが評価され、2月には知的財産を活用したビジネスプランのコンテストで最優秀賞を受賞しました。
今後は長年愛されてきた地域の味や職人が手がけてきた味などを分析し継承にも役立てたい考えです。

【大曲新矢さん】
「後継者育成というところで、すごく伝統的に味わいを守り続けた一級の杜氏さんとか、そういった方の味覚のデータを裏写しするようなデバイスができるじゃないか、“液体のDX化”という観点でこういった装置を広げていけたら」
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