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米Salesforceは何を目指す 「買い物リスト」解読

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CBINSIGHTS
米スラック・テクノロジーズを買収するなど米セールスフォースがここ数年、M&A(合併・買収)を積極的に進めている。大型買収だけでなく、スタートアップへの出資も300社以上になる。買収や提携をてこに主力の顧客情報管理(CRM)製品を核に事業を広げる考えだが、どんなビジネスの具体像を描いているのだろうか。同社の「買い物リスト」をCBインサイツが読み解いた。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

セールスフォースの時価総額は世界のソフトウエア企業上位10社に入る。同社は主力のCRM製品で営業活動を支援し、成功を収めた。一方、戦略的M&Aやベンチャーキャピタル(VC)投資を通じ、CRM以外の事業にも手を広げている。

過去5年だけで20社以上を買収し、300社を超えるスタートアップに出資したほか、6000社以上のパートナー企業とエコシステム(生態系)を築いている。

大型買収にも踏み切った。ビジネスチャットを手掛けるスラック・テクノロジーズを277億ドル、ビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームの米タブローソフトウェア(Tableau Software)を157億ドル、統合プラットフォームの米ミュールソフト(MuleSoft)を65億ドルで買収した。様々な製品を統合し、クラウドベースのデータを重視した顧客ファーストの未来で優位に立つのが狙いだ。

今回はCBインサイツのデータを活用し、セールスフォースの最近の買収、投資、提携から5つの重要戦略を抜き出した。この5つの分野でのビジネス関係に基づいて各社を分類した。

・ビジネスインテリジェンス&アナリティクス(分析)

・協業&生産性

・カスタマーサービス

・サイバーセキュリティー

・電子商取引(EC)&デジタルマーケティング

ビジネスインテリジェンス&アナリティクス

企業は顧客とのやり取りや社内業務から生まれる膨大なデータに基づいて知見を導き出し、判断を下すよう求める圧力にさらされている。

これを可能にするため、セールスフォースは2019年、タブローソフトウェアを157億ドルで買収した。ビジネスユーザーはタブローのデータ可視化機能と共有しやすいダッシュボード(一覧表示画面)により、組織のデータを自由自在に活用できる。

この分野で膨大なデータから知見を見いだすために人工知能(AI)に注目するようになったのに伴い、セールスフォースは21年、米ナラティブ・サイエンス(Narrative Science)を買収した。ナラティブの機械学習技術はデータを分析してストーリーにして伝えるため、技術に詳しくないユーザーも理解できる。

セールスフォースは優れたBIには優れたデータ管理が必要だと認識し、企業のデータを保管、移行、管理するツールの開発企業に頻繁に投資している。例えば、セールスフォース・ベンチャーズは21年、様々なタイプのデータの保管やクエリ(処理要求)を実行するクラウド基盤を手掛ける米データブリックス(Databricks)に出資した。

セールスフォースは20年以降、データ・分析会社15社以上に出資し、米エクスプロリアム(Explorium)や米スノーフレイク(Snowflake)などのデータ会社と提携している。特に、スノーフレイクとの提携はセールスフォースのこの分野の戦略「統合とAI」を象徴している。両社はこのほどプラットフォームを統合し、スノーフレイクのデータウエアハウス(膨大なデータを一括保管するシステム)でタブローやAI分析システム「アインシュタイン・アナリティクス(Einstein Analytics)」などセールスフォースの製品を使えるようにした。

協業&生産性

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、企業はデジタルとクラウドを駆使したテレワークにまい進している。

この新たな経営環境で20年12月、セールスフォースはスラック・テクノロジーズを買収することを発表し(買収完了は21年7月)、創業以来最大の賭けに打って出た。両社は買収の数年前から提携し、スラックのチャットや協業機能をセールスフォースの製品(例えばカスタマーサービスやCRM)に搭載していた。

セールスフォースはここ2年、スラック内で契約書類の編集、ファイル共有、クラウド環境のモニタリングなどさらに多くの業務をこなせるようにするため、電子署名の米ドキュサイン(DocuSign)、データのオンライン管理・共有の米ボックス(Box)、米アマゾン・ドット・コムと提携している。

セールスフォースによるミュールソフトの65億ドルでの買収は、この統合戦略の要だ。これにより、セールスフォースは異なるアプリケーションやシステム、データベースを接続する様々な既製ツールを活用できるようになった。

セールスフォース・ベンチャーズの出資は、この分野での今後のセールスフォースの活動を知る手がかりになる。このベンチャー部門は22年1月、リモート環境で働くチームでも共同作業できるオンラインホワイトボードの米ミロ(Miro)に出資した。さらに、メタバースにも目を光らせている。21年10月には従業員のアバター(分身)が出社して一緒に働くバーチャルオフィスを手掛ける日本のオヴィス(oVice)に出資した。

カスタマーサービス

セールスフォースはカスタマーサービスが収益を生まないコストセンターからデジタル世界の営業バックアップ部門に移行するのを商機とみなした。

19年にはフィールドサービス管理ソフトを手掛ける米クリックソフトウェア・テクノロジーズ(ClickSoftware Technologies)を約13億5000万ドルで買収した。AIを活用して顧客の電話を解析し、知見を提供するイスラエルのボノボAI(Bonobo AI)も傘下に収めた。両社のサービスは大きく異なるが、いずれも顧客体験を改善するためにテクノロジーを活用している。

セールスフォースはここ2年のカスタマーサービス分野への投資で、AIを活用したコールセンターの訓練(米コグニオ=Cognio)、多彩なチャネルに対応したカスタマーサポート(米ジェネシス=Genesys)、自動やデジタルのカスタマーサポート(米ソウルマシーンズ=Soul Machines、米レプリカント=Replicant、米イエロー・ドット・AI=Yellow.ai、イスラエルのテックシー=TechSee)を対象にしている。いずれも単純な問い合わせは自動で速やかに解決し、人間の担当者はもっと複雑なタスクに集中できるようにするのが狙いだ。

データやコミュニケーションツールをクラウドで利用できるようになり、カスタマーサービス担当者はリモートで働くようになっている。そこで、セールスフォースはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と提携し、同社のコールセンター向けサービス「アマゾンコネクト(Amazon Connect)」と接続している。

サイバーセキュリティー

セールスフォースは大企業に代わって重要で繊細な情報を保管しているため、サイバーセキュリティー対策に多額の費用を投じている。

21年にはデータ復旧サービス「バックアップ・アンド・リストア(Backup & Restore)」の提供を開始し、セキュリティー侵害や機能停止の際にデータを簡単に守れるようにした。22年4月には繊細なデータの匿名化を手掛ける米フェネックス(Phennecs)を買収した。

防御機能を強化するためにサイバーセキュリティー企業との連携も進めている。20年には米オクタ(Okta)と提携し、安全な職場づくりを支援するセールスフォースのプラットフォーム「ワーク・ドット・コム(Work.com)」のサインインプロセスを保護した。一方、米タニウム(Tanium)との提携により、セールスフォースのサービス利用者のエンドポイント(例えばパソコンやモバイル端末)を守り、IT(情報技術)問題を解決するヘルプデスクを開発した。

セールスフォースはサイバーセキュリティーの脅威に先回りし続けるため、ベンチャー部門を通じてこの分野に頻繁に投資している。セールスフォース・ベンチャーズはサイバーセキュリティー分野の最も活発な投資家上位20社に名を連ねており、クラウドセキュリティー(イスラエルのウィズ=Wiz)、エンドポイントのセキュリティー(タニウム)、オープンソースソフトウエア(OSS)のセキュリティー(英スニーク=Snyk)などに力を入れている。

EC&デジタルマーケティング

セールスフォースは16年に米デマンドウェア(Demandware)を買収し、ECインフラ市場に参入してネット通販の急成長に乗じる方針を示した。

その後EC構築に注目する企業が増え、セールスフォースもECインフラ企業の買収を活発化している。

・18年にはBtoB(法人向け)EC構築を支援する米クラウドクレイズ(CloudCraze)を買収した。

・20年には顧客データ基盤を構築し、一人ひとりに応じた販促を可能にする米エバーゲージ(Evergage)と、ECで顧客と接するフロントエンドと商品情報などのバックエンドを切り離す「ヘッドレス」基盤を手掛けるカナダのモビファイ(Mobify)を買収した。

・22年2月にはマーケットプレイスの管理システムを提供するブラジルのアトニット(Atonit)を買収した。

セールスフォースはこうした買収や、自社で開発した商品おススメやオンライン注文の管理機能により、様々なデジタルチャネルで顧客と関係を構築できるフルサービスのECシステムを提供しようとしている。

EC全体の体験を向上させるため、米物流大手フェデックスや米決済大手ペイパルなどのパートナーにも目を向けている。例えば、フェデックスは翌日配送、返品管理、注文の可視化により、セールスフォースのECサービスを補っている。ペイパルは「(傘下の個人間送金アプリ)ベンモでの支払い」や後払いサービス「BNPL」などの決済オプションを提供し、セールスフォースのユーザーの決済プロセスを簡略化している。

セールスフォースは未来のEC戦略では、マーケットプレイス基盤や次世代のデジタルコンテンツに積極的に投資している。21年にはマーケットプレイスの構築、管理ツールを提供するオーストラリアのマーケットプレーサー(Marketplacer)や、商品の3D(3次元)映像を作成する米スリーキット(Threekit)に出資した。

巨大テック企業がユーザーの追跡をブロックし、「サードパーティークッキー(閲覧しているサイトの運営者とは異なる第三者が提供するクッキー)」の価値が低下しているため、セールスフォースのデジタルマーケティング分野での役割が拡大する可能性もある。例えば、21年にはサービス提供者が直接収集する情報(ファーストパーティー・データ)を活用したマーケティング手法を開発するため、米グーグルと提携した。

その他

セールスフォースは上記の5つの分野以外でも注目すべき投資や提携、買収をしている。

人材管理:従業員のリモートワークを認める企業が増えているため、セールスフォースは人事分野をチャンスとみている可能性がある。21年にはワーク・ドット・コムで従業員のウェルビーイング(心身の健康や幸福)を支援、モニタリング、向上させるため、いくつかの製品の提供を開始した。例えば、「従業員コンシェルジュボット」は従業員ハンドブックなどの共有情報を検索し、人事関連のよくある質問に回答する。

こうした活動はセールスフォース・ベンチャーズの現在の投資戦略と合致している。同社はここ2年、従業員の働きがいの改善(豪カルチャーアンプ=Culture Amp)や人事管理(印ダーウィンボックス=Darwinbox)、従業員のコーチングやトレーニング(米ベターアップ、BetterUp)など、様々な分野に特化した人事スタートアップ10社以上に出資している。

決済:セールスフォースはEC事業の深化に伴い、決済事業も拡充している。ペイパルとの提携に加え、ベンチャー部門を通じて20年以降、決済スタートアップ5社に出資している。直近では自社製品への決済機能の埋め込みを支援する米モダントレジャリー(Modern Treasury)に出資した。

サステナビリティー(持続可能性):セールスフォースは事業活動の環境負荷低減に取り組んでいる。21年には温暖化ガス排出量実質ゼロを達成したと発表した。他社のサステナビリティー推進を支援し、新たな事業や収益源にしたいとも考えている。例えば、20年には企業が自社の二酸化炭素(CO2)排出量を算出し、モニタリングできるクラウドサービスを開始した。

セールスフォースはこの社内外両方の取り組みを支えるため、20年以降にサステナビリティー分野のスタートアップ5社以上に出資している。対象はカーボンオフセットの格付け(英シルベラ=Sylvera)から電気を活用したクリーン暖房(米ブロックパワー=BlocPower)、ESG(環境・社会・企業統治)格付け(米メジャラブル=Measurabl)におよぶ。

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