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イオンに負けて開眼 スーパーモールラッキーの新戦略

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地方のスーパーが生き残るためには何が大切なのか。秋田のスーパーモールラッキーは、かつて大手に価格競争で負けた経験から、来店を習慣にしてもらうような仕掛けづくりに腐心した。価格ではない付加価値型経営を目指すスーパーには一つのヒントになりそうだ。

秋田県横手市に本拠を置くスーパーのマルシメが運営するスーパーモールラッキー。店内に足を踏み入れると、広い休憩スペースから笑い声が聞こえる。談笑していたのは地域の高齢者たち。見渡すと、ベビーカーを脇に置いて一息つく主婦や参考書を広げる学生など、多くの人たちがこの空間を利用していた。

横手市の人口は過去10年間で約12%も減り、現在は約8万5000人。この地でスーパーモールラッキーは「地域のハブ」になって大手スーパーに対抗しようとしている。

県内にスーパー3店舗を運営するマルシメの遠藤宗一郎社長は「値引きでは大手に勝てないんですよ」と話す。かつて価格競争で大手に挑み、経営難に陥った苦い過去がある。

戦ったのはイオン系のスーパーだった。遠藤氏が社長に就いた2006年、近隣にドラッグストアやアパレル専門店などがテナントに入るショッピングモールが開業した。客の奪い合いが始まり、お互いに低価格を売りにする競争が激化した。

だが、大量入荷によってコストを下げている大手にはかなわず敗北。粗利益率は競合の出店前より3ポイント低下し、赤字を計上する羽目になった。

どこまで地元にコミットできるか

遠藤社長が学んだのは「より地元にコミットして差別化を図るべきだ」という教訓だ。そこで、いくつかの手を打った。一つは地場の契約農家に店内の売り場を貸す「ファーマーズマーケット」だ。

既存の青果売り場には地域で収穫しない商品を中心に並べた一方、ファーマーズマーケットでは地産地消の商品に特化した。この取り組みは相乗効果を生んだ。普段は直売所で青果を買う顧客がスーパーモールラッキーに訪れるようになったのだ。加えて、生産者である地元の契約農家も来店するようになった。

もう一つの施策が顧客の日常に入り込む戦略。冒頭で紹介した休憩スペースはその一例だ。店舗を地域住民が集うコミュニティーセンターのような場所にする試みは、当初は社内から反対の声が上がった。売り場面積が減ってしまうからだ。

しかし、遠藤社長は「休憩スペースは来店の習慣をつくる大事な空間だ」と引かなかった。休憩スペースに立ち寄って談笑するだけでもいい。気が向いたら買い物をしてもらおう──。店舗を地域のハブにするため、11年からは会員を無料で送迎するバスを走らせた。現在は平日に14路線を運行し、年に約1万7000人が利用する規模になった。

ご用聞きで接点増やす

スーパーモールラッキーでは地域住民の悩みを解決するご用聞きのような取り組み「マルシメネットワーク」も実施している。地場の工務店やガス販売店と協力し、地域住民がスーパーモールラッキーの店員に相談した課題を解決する。相談の内容に沿った専門分野を持つ地元企業を紹介し、紹介を受けた企業はマルシメに紹介料を支払う。

「面倒な草刈りを手伝ってほしい」といった悩みも受け付け、その場合はスーパーモールラッキーの店員が相談者の元に出向いて労働力を提供する。日常的なコミュニケーションを自ら創出することで、店舗は地域住民が頼りとする「ハブ」になっていく。

毎年7月ごろ、2日にわたって実施している「夏の大感謝祭」(20、21年は新型コロナウイルスの影響で中止)もスーパーモールラッキーが地域にコミットするための大事なイベントだ。20年以上続いているこの祭りでは、店舗の駐車場に約20の屋台が並ぶ。よさこいや太鼓の演奏、中学校の吹奏楽部ステージなどが企画され、最終日のフィナーレには花火を上げる。2日間延べ約3万人が集まる。

遠藤社長は祭りについて「社員、地元企業、住民の交流の場にしている」と話す。祭りの当日は社員が住民と話し合い、ときにはお酒を飲んでいる姿が見られる。社員は30~40代が多く、高齢の住民は社員に対して子供や孫のように接する。こうした関係性が、来店動機につながっているのだという。

地域への徹底したコミットが奏功し、現在の粗利益率は赤字だった頃に比べ約6ポイント改善した。遠藤社長は「客離れを怖がり、なかなかみんな振り切らない。だから我々は『地域のハブ』という店づくりをすることで付け入る隙があった」と話している。

商品の多さや低価格戦略だけが戦い方ではない。スーパーモールラッキーには人口減少時代を乗る切る1つの答えがある。

(日経ビジネス 田中創太)

[日経ビジネス2022年4月18日号の記事を再構成]

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