コンサル、DXで需要増 2022年日経・独社調査
日本経済新聞社と独調査会社スタティスタがまとめた「2022年の経営コンサルティング調査」で、アクセンチュア、野村総合研究所とデロイトトーマツグループなど大手コンサル事務所が高い評価を受けた。いずれもデジタルトランスフォーメーション(DX)分野で企業からの評価が高かった。DXやデータ分析のコンサル需要は旺盛で、デジタル関連の業務がコンサル企業の評価を左右している。
経営コンサル調査は初めて実施した。調査はスタティスタが担当した。22年1月末までに企業の幹部約2000人とコンサル業界の約200人から有効回答を得た。自動車や化学、ヘルスケアなど10業種、戦略とM&A(合併・買収)、DXなど13サービスで企業や同業者が優秀なコンサル会社を推薦。推薦数をもとに、金賞と銀賞で評価した。
アクセンチュアは経営戦略など経営者への助言からシステム構築など実務まで幅広い分野で評価を獲得した。人材確保に力を入れ顧客の要望に迅速に対応する体制作りに力を入れた。野村総合研究所はDXのほか、エネルギー・環境、建設・インフラで評価された。デロイトトーマツグループは組織変革やマネジメント・事業再生で最高評価を得た。DXと人材開発で高評価を得た15社が総合でも上位を占めた。
知名度の高いマッキンゼー・アンド・カンパニージャパンは人材関連、ボストン・コンサルティング・グループは化学分野で強みを発揮した。小規模な「ブティック」型のコンサル企業が存在感を示す欧米に比べ、日本のコンサルは人材が豊富な大手が幅広い分野でサービスを展開し強さを見せた点も特徴的だった。
ここにきて日本企業のコンサル活用が広がっている。企業のコンサル活用の実態について尋ねたところ、企業幹部の33%が4年前と比べて利用が増えたと回答した。減っていると答えた幹部は18%だった。年間2件以上を利用すると応えた幹部は58%だった。企業がコンサル企業を活用する際、重視するポイントは「専門性」が71%と最も多く、「実績」が64%で続いた。
コンサル会社に顧客企業が重視するテーマを尋ねたところ、デジタル化・DXが最多で46%だった。経営戦略が33%、データ分析・ビッグデータが28%と続いた。
ただ業界はDX特需に沸くが、コンサル企業はデジタル人材の確保に苦心している。実際、調査でコンサル企業の55%が人材確保を課題として、うち35%がDX、26%がデータ分析といった特定の分野で採用が難しくなっていると回答した。
ビジネススキルを磨けるコンサル業界は就職ランキングで上位を占め、人気業種として定着しつつある。
その一方で、働き方がコンサル業界全体の課題に浮上している。3月8日、アクセンチュアが厚生労働省から社員に違法な時間外労働をさせたとして、労働基準法違反の疑いで法人としての同社と管理職の社員が東京地検に書類送検された。コンサル業界ではDXなど課題解決が難しい案件の増加や競争激化などを背景に、若手社員が調査や資料作りに長時間従事するケースがあるという。
黒子として企業を支える実力が認められてきたコンサル企業。持続的に企業から信頼を得るには、自らの働き方でも企業の模範になる必要がありそうだ。
スタティスタ社による調査の方法についてはこちら
https://statistacloudfront.s3.eu-west-1.amazonaws.com/rankings/Methodology_Japan%27s+Leading+Management+Consultancies_2022_jp.pdf
調査についての問い合わせは:best-consultants-Japan@statista-research.com
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