きょう得するクーポン、次回得するポイント 使い分け術
ポイント・クーポン活用術(1)
今月のテーマは「ポイントとクーポン」です。私たちは日常的にポイントをため、クーポンで割引を手に入れていますが、もっと効率を高めることができないでしょうか。
あらゆる買い物にクーポンとポイントがつながる
今どき買い物でクーポンやポイントを「まったく使っていない」という人はほとんどいないと思います。面倒でポイントカードの提示をサボってしまう人もいるでしょうが、利用ゼロという人はあまりいないはずです。
そもそもクレジットカードを利用すれば、自動的にポイントがたまっています。電子マネーの多くにも利用に応じてポイントがたまります。
20年くらい前、ファストフードを中心に紙のクーポンが大量配布されていたときは、財布にクーポンをいろいろ入れていたものです。手軽に50円前後の割引を手にすることができるのは大きな魅力です。最近では紙のクーポンは減って、スマホアプリへの配布に置き換わっているようです。
物価高の時代、使わない手はない
2022年は物価高の年となりました。モノの値段がことごとく上昇しており、割安な買い物を継続するのがなかなか大変になってきています。
22年7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比プラス2.6%(総合指数)と大きく上昇、食品は4.4%、光熱・水道は14.7%と日常生活に影響するところの伸びが目立っています。
もしかしたらポイントとクーポンがこうした物価高を乗り越える助けとなるかもしれません。ポイント還元率は1.0%を基本に複数獲得できることもあります。クーポンは5~10%の割引相当になることがよくあります。いずれも賢く利用できれば大きな割引になります。
還元率や割引率が大したことはないとたかをくくって、ポイントカードを提示しなかったりクーポンをチェックをやめたりした人ほど、今は再チェックの時期です。それこそ学生時代に必死にクーポンを集めていたような気持ちで、もう一度ポイントとクーポンに向き合ってみましょう。
クーポンとポイント、どう違う?
さて、クーポンとポイント、なんとなくごっちゃにして活用している人が多いと思いますので、まず基本的なところを押さえておきましょう。
「クーポン」というのは、その場で割引が提示されるのが基本的な仕組みです。いわゆる割引券です。
その場で即座に割引が適用され、お得になります。3000円の買い物に10%引きクーポンを提示すれば、決済金額は2700円となります。300円がはっきりと割引となって表れ、支出が確実に減っています。
これに対して「ポイント」だとその場の支出額は割引されるわけではありませんが、後日に割引として用いることができるポイントを獲得する仕組みです。
3000円の買い物で10%ポイント還元の場合、実際に支出する金額は3000円です。クーポンと違いこの時点での割引はありません。しかし、300ポイントが記録されており、次回以降の買い物の際にそれを用いて割引を得ることができます。
お金の支出管理を考えるなら、実は重要性が高いのが「クーポン」によってその場での割引を獲得することです。直接家計に作用してくるからです。
ポイントはしばしば、ためるばっかりとなって使われないことがあります。情報通信業のプレミア・クロスバリュー(東京・千代田)の調査ではクレジットカードでは約3人に1人、マイレージサービスでは約2人に1人がポイントの失効経験があるとのこと。どんなにポイントをためても、使わなければ何のお得にもなっていない、というわけです。
カギとなるのはやはりスマホ
ポイントは「ポイントカード」をベースに、クーポンは「紙」をベースに発展してきました。
ポイントカードの会員登録をして、財布の中にたくさんプラスチックのカードを入れていた人もいます。駅前で配っているチラシ、フリーペーパーについているクーポンのページ、ダイレクトメールなど、色々なアプローチで手に入るクーポンをたくさん抱えていた人もいます。
今はそれも過去の遺物となりました。ほとんどすべてが「スマホ」で完結するようになったからです。
主要なポイントカードは単独のアプリを用意しています。たくさんのカードは、ひとつのスマホに収められるようになりました。小さなお店も対話アプリ「LINE」のポイントカードシステムなどを利用すれば、簡単にポイントカードが運営できるようになっています。
クーポンも「事前入手」の必要がなくなりました。スマホアプリを活用すれば、直前あるいは店頭でアプリを起動させてクーポンを手にすることができます。私もレジの行列に並びながらクーポンのチェックをすることがしばしばです。
22年のポイント、クーポン攻略はスマホの有効活用術といってもいいでしょう。もしかしたら、スマホを起動させることで、何%もお得になるかもしれません。
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フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が若年層に向けて、「幸せな人生」を実現するためのお金の問題について解説するコラムです。毎週月曜日に掲載します。