Apple、後払いサービスの金融子会社 与信管理も自前で
【シリコンバレー=白石武志】米アップルがモバイル決済サービス「アップルペイ」に追加する後払い機能の提供に向け、与信管理などを担う金融子会社を設けたことが8日、明らかになった。アップルが消費者向け金融サービスで融資の判断を自前で手掛けるのは初めてとみられる。フィンテック分野における巨大IT(情報技術)の存在感が一段と高まりそうだ。
米ブルームバーグ通信が8日、アップルが今秋にも米国で始める「ペイレーター」と呼ぶ後払いサービスでは完全子会社の米アップルファイナンシングが信用調査を監督し、融資を決定すると報じた。アップル側のコメントは得られていない。
アップルは米国内でクレジットカード「アップルカード」などの消費者向け金融サービスを手掛けているが、与信管理については提携先の米ゴールドマン・サックスに委ねてきた。「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レーター)」と呼ばれ若年層を中心に普及が続く後払いサービスでは自前主義に切り替え、自ら金融のノウハウを蓄積していく考えとみられる。
アップルは6日に始まった年次開発者会議「WWDC」の基調講演で今秋に配布を始めるスマートフォン向け基本ソフト「iOS 16」に後払い機能を追加すると発表した。アップルペイが使える店舗やオンラインストアであれば、決済した代金を6週間にわたり4回に分けて金利や手数料を負担せずに支払うことができるようになる。
米アファーム・ホールディングスやスウェーデンのクラーナなどが手掛けるBNPLサービスは学生ローン債務などを理由にクレジットカードを持てない若年層を中心に欧米で普及しつつある。一方で支払い遅延などのトラブル報告も増えており、各国・地域の規制当局は監視の目を強めている。