ZHDの4~6月、純利益5%減 広告事業の伸び率鈍化
ヤフーとLINEを傘下に持つZホールディングス(HD)が3日に発表した2022年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比5%減の252億円だった。デジタル広告事業の伸びが鈍化したほか、LINEの国内外の事業で販促費が拡大した。出前館などで投資損失を計上したことも響いた。
売上高にあたる売上収益は5%増の3905億円、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は0.2%増の865億円だった。いずれも4~6月期としては過去最高になった。
不透明なマクロ環境や一部業種での景況感の悪化で主要事業では伸び率が鈍化しつつある。稼ぎ頭のデジタル広告などメディア事業の売上収益は3%増にとどまった。「Yahoo!ショッピング」や「PayPay(ペイペイ)モール」など物販系のECも堅調に推移したが、取扱高は7316億円で6%増だった。
21年3月に経営統合したLINEは売上収益が813億円で16%伸びた。ただ、LINEを通じてプレゼントを贈れるサービス「LINEギフト」の販促費が増えたほか、海外のEC事業などで投資拡大していることが業績の重荷となった。
ZHDはソフトバンクと共同でスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」を10月に連結子会社化すると7月末に公表した。連結子会社化でペイペイとLINEが手掛ける「LINEペイ」との連携をさらに強化する。
ZHDの川辺健太郎社長は「ポイント統合のほか、LINEとペイペイのID連携などを23年以降に実現する。ペイペイは非常に重要な戦略で、ソフトバンクとの連携も強化しグループ一体で経済圏を拡大していく」と強調した。ECで先行する楽天グループや米アマゾンにグループ連携で対抗する。
10月にはYahoo!ショッピングとPayPayモールを統合する。LINEを活用して出店者がより効率的に販促をできるようにする。ECの統合をきっかけにグループの連携を強め、LINEとの経営統合の効果をさらに追求していく。