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Jリーグとヤフーがコラボ 防災「ソナエル杯」の可能性

スポーツコンサルタント 杉原海太

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JリーグとJリーグのサポーティングカンパニーであるヤフーが共同で「ソナエルJapan杯」という企画を始めた。自然災害が多い日本で、人々の防災意識を高めるのが狙いなのだが、その取り組みの中にはこれまでにないチャレンジがあり、個人的に非常に注目している。

もともとヤフーは災害時に必要な知識や能力を問う「防災模試」を全国規模で実施してきた。その試みに以前から東海地域の6つのJクラブが参加していたのを、今回さらに広げ、J1、J2、J3の全57クラブが〝相乗り〟することになった。Jリーグのファン、サポーターはスマートフォンを通じて模試を受け、クラブ間で受験者数や獲得した点数を競い合いながら優勝チームを決めていき、同時に防災にまつわる知識や能力を身につけていくのである。

この取り組みが興味深いのは、この両者のタッグが、スポンサーは協賛金や金銭以外の製品等をスポーツ団体に提供し、スポーツ団体はその見返りとしてスポンサーが望む(広告露出を中心とする)権利を提供するという従来の協賛型プログラムではないところにある。

土台にある「共感」が生む推進力

私が理解している限りでは、Jリーグとヤフーがサポーティングカンパニーとして契約を交わした際、このような活動をするという項目はなかったようである。協賛金を仲立ちにした権利とか義務とか、そういう〝お堅い話〟は抜きにして、全国各地の地域の防災力を高めるために、お互い一緒になってできることはないか。そういう熱い志が出発点になってコラボが実現したというのである。

つまり、このコラボの土台にあるのは、権利でも義務でも強制でも拘束でもなく、私には「共感」だと思えるのだ。リーグとヤフーの呼びかけに対し、今回全Jクラブが応じたけれど、これも強制ベースの話ではない。社会的な意義に賛同したり意気に感じたりして、また趣旨に賛同し面白いと思い、自主的にファン、サポーターに発信してくれた。その座組の中にはJリーグのOB選手たちも進んで加わっている。

強制ではないので、この先いろいろな現実に直面するかもしれないが、理念や理想から入っているので共感してもらえると、「やらされている」のとは違う、大きな推進力が生まれる。「共感」をいささか欠いた感のあるオリンピック直後だけに、より一層そんなパワーを感じるのである。

大上段に構えず、軽い「ノリ」で

「ソナエルJapan杯」でもう一つの見どころは、社会を良くするとか社会課題を解決するとか、そういうことに対して大上段に構えていないことだ。

誤解を恐れずにいえば、日本ではスポーツについて語ることと社会課題に対する取り組みには共通の意識構造のようなものが横たわっている気がする。スポーツなら競技ごとに専門家や熱心な愛好家がいて、後から来た新規のファンに「そんなことも知らないのか」というような態度を意識的・無意識的に取ってしまう。そういう「村社会」ならではの風通しの悪さが、いまだに存在する。

ソーシャル界も似たような雰囲気を個人的には感じていて、いわゆる「意識高い系」の人たちが多く、知らず知らずのうちに壁を高くしている。周りの人は恐縮して、何かお手伝いしたいなと思っても「自分なんか意識の低い人間と思われてしまうんだろうなあ」と尻込みさせてしまう。

「ソナエルJapan杯」はその点、気軽に楽しく、同好の士とわいわいやりながら防災意識を高めて災害に対する知識を増やし、結果的にサバイバル能力を身につけてもらおうという仕立てになっている。社会課題の解決には、大上段に構えず、それこそ軽い「ノリ」で様々な人が気軽に参加できるような空気感が重要だとして、それをCSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)にかけて「CSA(カジュアル・ソーシャル・アクション)」と勝手に名づけた友人がいるのだが、この企画はまさしくそうだろう。

意味のない垣根はなくし、色々な人が思い思いのやり方で、世の中に対して「いいね」と思うことを気軽に行動に移す。もともと本質的には「遊び」の要素を持つスポーツの活用は、そういった空気感の醸成にうってつけであろうし、今回の企画がそういうきっかけになったら素晴らしい。

スポーツを支援する企業のアクティベーションと呼ばれる活動を、企業が求める理念や目的に沿うようにプログラム設計するのは当たり前のこと。そこは大前提としながら、広告価値とか企業メリットを直接的に求める色が濃すぎると、昭和の時代の広告のようになってしまう。

ソーシャル性高い商品で新たなファン層拡大

ここからは個人的な意見になるが、スポーツへの協賛を通じての企業メリットは、広告看板や胸スポンサーのような「広告露出」が中心であり続けてきたが、この先の企業は、そういった直接的なメリットとは別に、幅広く社会から共感を得られる活動をスポーツの団体やチーム、ファンと一緒になって展開することを求めていく気がしている。

スポーツの側もスタジアムやアリーナの中で、選手に打たせて、走らせて、投げさせて、蹴らせて、客席で物品を売っておけば済む時代ではなくなる。そういうエンターテインメント価値やそこから派生した広告価値を通じた収益とは別に、マッチデー以外のアクティベーション活動をどう商品化できるか。そういう商品を、協賛型ビジネスの〝おまけ〟としてではなく、企業と一緒に本格的に共創できたら、社会性も有するスポーツならではの、従来にはないリターンがもたらされ、企業に良し、スポーツに良し、社会にも良しの「三方良し」の新たなビジネスモデルが成立することになる。

今や小学生でも環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)について学ぶ時代である。Jリーグが行っている「シャレン!(社会連携)」にも、大学生から「こういうことを私もやりたい」という問い合わせがあるそうだ。自戒を込めて言えば、残念ながら、大人たちの方が感度は鈍いというか、消化できていない感がある。

スポーツの世界ではファンやサポーターの高齢化が危惧されている。かつて「野球はおじさんのスポーツ、サッカーは若者のスポーツ」と言われたが、Jリーグも確実にファンの高齢化が進んでいる。だからこそ、スポンサー企業とソーシャル性の高い商品を生み出していくことは大事だ。それは感度の高い、若い世代を巻き込んで、新たなファン層の拡大にもつながると思うのだ。

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