多彩なデジタルサイネージ 金沢のサイバーステーション
Tech&Unique
ソフト開発のサイバーステーション(金沢市)は映像や文字をディスプレーに表示するデジタルサイネージ(電子看板)のシステムを手がけている。品ぞろえの多さが特徴で、金融機関やオフィス、飲食店といった様々な場所に使われている。
金沢駅の商業施設「金沢百番街」。きんつば中田屋(金沢市)の店舗のショーケースに、会社のロゴである「龍」が飛び出した。まもなく金魚の画像に変わり、思わずなでようとする子どもたちもいる。
このショーケースは韓国企業が開発した透過型ディスプレー2枚を組み込んだデジタルサイネージだ。ディスプレーの向こうが透けており、龍や金魚の向こうに、主力商品のきんつばがみえる。「びっくりする観光客も多い」(同店)という。
サイバーステーションの強みが複数のディスプレーをつなぎ、一体的に演出できる点だ。首都圏のあるすし店では、8つの画面を管理し、魚が飛び上がる映像など店の雰囲気づくりに役立てているという。福永泰男社長は「ディスプレーはどこでも大丈夫。顧客の要望に応じてシステムを構築する」と説明する。
同社は2000年設立、22年6月期の売上高見通しは約3億円。家電量販店に勤務していた福永氏がインターネット関連のソフトのビジネスが伸びると考えて創業した。当初は動画配信のシステムが中心だった。デジタルサイネージに取り組んだのは09年からだ。
まず、金融機関の店舗向けから始めた。他社の製品より安かったため、各地に導入が広がった。その後、オフィスや工場に利用が拡大した。ホワイトボードやポスターの代わりとなる情報共有の手段として使われている。原子力発電所など個人のスマートフォンが持ち込めない場所での導入例もある。
デジタルサイネージはこれまで約3万5000台の出荷実績があるが、オフィス・工場向けが2万台超、次いで金融機関向けが5000台と続く。今後について、福永社長は「5年以内に累計10万台を目指す」と意気込む。
期待するのが小売店や外食店だ。新型コロナウイルス対策で非対面・非接触の店づくりが必要となることも大きいという。透過型ディスプレーなどは販路開拓の一環になるとみている。
(石黒和宏)