デジタル化を促し地域の課題解決や魅力向上を支援する政府のデジタル田園都市国家構想=ズーム=推進交付金の配分先に、群馬県前橋市の「まえばし暮らしテック推進事業」などが選ばれた。デジタル個人認証を基軸に新たなシステムを構築し、暮らし全般にわたり個人に最適なサービスを提供する計画。市は仕組みを全国に広めて市内にIT人材を集積させ、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の聖地」を目指す。10月の事業開始に向け体制づくりを急ぐが、IT弱者への配慮や利用を促す周知など課題もある。
事業は新たにデータ連携システムを整備。デジタル個人認証「まえばしID(仮称)」を通じ、利用者が自身に関する情報の使用を許諾すれば、関係機関・企業が共有し最適なサービスを随時受けられる仕組みだ。核となるIDは官民で使える電子証明書を基に、マイナンバーカードと顔認証、スマートフォン(スマホ)を組み合わせるとして、市は「成り済ましを防ぐことができ安全性が高い」と胸を張る。
■12分野から
市によると、10月から運用し、子どものアレルギー情報を学校や消防などが共有して事故を防いだり、個人の状況や関心に合わせた市のイベント情報を通知したりするサービスを始める。年度内に教育や子育て、交通といった12のサービスに乗り出し、その後も幅広い分野に展開していく。
市はIDとデータ連係システムを含む、この仕組みを全国各地の自治体に“輸出”していく考えだ。「前橋で生まれた仕組みを全国で使ってもらえば、...