クレカのタッチ決済「あるある」とは 筆者が実際に体験したケース
最近、VisaやMasterCard、JCBなどクレジットカードブランドが普及に力を入れているのがNFC TypeA/B(以下、NFC)を使った非接触決済だ。ただし、「クレジットカードをかざして決済する」という認識はまだ浸透しているわけではなさそうだ。
最近、VisaやMasterCard、JCBなどクレジットカードブランドが普及に力を入れているのがNFC TypeA/B(以下、NFC)を使った非接触決済だ。「Visaで」というフレーズとともにクレジットカードをかざしているCMを見たことがある人もいるだろう。ただし、「クレジットカードをかざして決済する」という認識はまだまだ浸透していないようで、先日こんなツイートが話題になった。
内容は、イオンのレジでクレジットカードをかざして決済しようとすると「(タッチ決済は)WAONです」と注意されたという“お客様の声”を紹介したもの。クレジットカードといえば「リーダーに差し込んで暗証番号を入力して決済する」が浸透しており、確かに「カードをタッチ=電子マネー」という認識の店員がいても不思議ではない。投稿者も「タッチ決済あるある」と紹介している。
クレジットカードの非接触決済については店員もおそらく教育を受けていると思う。それでも人間一度染みついた認識はなかなか上書きできないのも理解できる。
スマホのクレカ決済=iD/QUICPay? 筆者が実際に体験したケース
筆者もスマートフォン決済で似た体験をしたことがある。コンビニでiPhoneのApple Payをスタンバイし、CMと同じく「Visaのタッチで」と店員に伝えたところ、支払いを「iD」に設定されてしまい、それに気づかずそのままiDで決済してしまった。未遂も含めこれまでに2〜3度経験している。
ドコモの「iD」やJCBが手がける「QUICPay」もクレジットカード支払いができる電子決済手段だ。両者ともサービスが始まって17年が経過しており「スマホでかざすクレカ決済=iD/QUICPay」という図式が出来上がっていて、その後登場した「Visaのタッチ決済」や「MasterCardコンタクトレス」など、クレジットカードの非接触決済と区別できない店員も多い。
筆者はApple Payに三井住友カードを設定しているが、起動するとクレジットカードの非接触決済とiDの両方がスタンバイになるため、店員がリーダーの読み取りをiDにすると筆者のようなケースが起こってしまう。決済自体はできているので特段困ることはないのだが、同社の一部カードはコンビニでVisa/MasterCardの非接触決済を使うと5%のポイントが付くため、iDだとちょっともったいない(といってもやり直しをお願いするのもはばかられる額ではある)。都内だとほぼなくなったが「Visaのタッチで」と伝えても「え?」みたいな顔をされることも多い。
少し前にこのことをツイートしたらちょっと拡散され、いろいろなコメントが集まった。やはり他の方も同じ経験をされているようで、「あるある」「店員にどう伝えるのが正解なんだろう」「タッチで決済できるんですよと店員に言っても『は?』みたいな顔された」といった声があった一方、店員側の声として「間違ってしまってお客さんに怒られた」といったツイートも見られた。確かに、これだけキャッシュレス決済が増えてしまうと、店員側が把握するのも一苦労だろう。
このツイートがきっかけで知ったのだが、タッチ決済に対応してるコンビニなどのPOSレジは「3面待ち」を採用していることが多い。支払いをクレジットカードに設定すると、磁気、IC、非接触を同時に受け付けるというもので、「クレジットカードで」と伝えれば、あとはそのままスマホやクレカをかざすだけ。店員が支払いをクレジットカードに設定すれば、確実にVisaのタッチ決済/MasterCardコンタクトレスで支払える。CMなので名称呼びは仕方ないのかもしれないが、トラブルが一番少ないのは「Visaで」ではなく「クレジットカードで」だ。筆者もこの呼び方に変えてから、だいぶ快適に支払えるようになった。
ただ、これも完ぺきではない。「スマホを持って支払いしようとする+クレジットカード指定=スマホのクレカ支払いだからiDだ!」と、間違った先読みをされる可能性も捨てきれない(これは一度遭遇した記憶がある)。なにより、最初のイオンのお客さまの声を紹介したツイートでは、3面待ちの状態で非接触決済しようとしたら「タッチはWAONです」と怒られたケースだ。決済自体はできても、店員とのやり取りコストが発生する可能性がある。
この状況をうまく解決しているのがセブン-イレブンかもしれない。同社が導入しているPOSレジは、支払い方法を客側のタッチパネルで設定できる。何度も利用してきたが、これまでトラブルらしきトラブルに遭遇したことはない。その一方で、画面から使いたい決済手段を選ぶこと自体を億劫に感じる人もいるだろう。
あと、直接の解決策にはならないだろうが、昔の名称の「payWave」だったり「コンタクトレス」だったり、「タッチ」以外の名称を使って各社共通で新しい決済手段としてブランディングするのも1つの手かもしれない。店員側からすれば、また新しい決済手段が増える……。と認識されるかもしれないが、カード/スマホをかざすタッチ決済がすでにたくさんある電子マネー大国日本で、クレカの非接触決済は区別がつきにくい。とはいっても、これまで各社がつぎ込んできたであろう認知獲得に使ったプロモーションコストを無視できればの話ではあるが……。
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