後払い商品を現金化する“ほぼヤミ金”、狙われる18歳新成人 キャッシュレス決済の行方は?小売・流通アナリストの視点(1/5 ページ)

» 2022年07月11日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

 経済産業省は6月1日、2021年の国内の決済手段のうち、キャッシュレスの比率が3割を超えたと発表した。キャッシュレス比率とは、決済の際に現金以外のデジタル決済方法(クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済)で支払った額を、総決済額で割った比率のことである。

「キャッシュレス支払額及び決済比率の推移」、経済産業省の公式サイトより

 このキャッシュレス決済比率は、その国のDXインフラの浸透度を示す指標でもある。そのため、政府はマイナンバーカードの普及と併せて、あの手この手で比率の引き上げを目指してきた。しかしご想像の通り、わが国のキャッシュレス比率3割強というのは、先進国中での最低レベルを脱してはいない。9割超の韓国、6割超の中国には遠く及ばず、欧米も多くの国は4〜5割以上となっており、日本を下回るのは主要国ではドイツ(2割弱)のみである。

 コロナ禍での非接触決済ニーズが発生するなどの追い風の下、ポイント還元するキャッシュレス推進事業が実施されて、18年に24.1%だったところを、21年にやっと32.5%まで引上げたという状況であり、まだまだ、その道のりは遠いようだ。

コード決済は増えたのに、なぜ?

画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ

 個人的な感覚で言えば、コロナ禍かつ、キャッシュレス推進事業の時期を通じて、周囲を見ていてもコード決済の浸透率は著しい。また、日々の買物風景においても多くの人がコード決済を使うようになったのを見ていると「キャッシュレスの比率はもっと増えたのでは?」と思っていた。

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