リサイクル日本一の大崎町 脱炭素化でヤフーから支援・寄付

稲野慎
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 国内有数のごみのリサイクルで知られる鹿児島県大崎町が、インターネット検索サイト大手のヤフー(本社・東京)が企画した、脱炭素化を目指す自治体を支援するプロジェクトの対象に選ばれた。企業版ふるさと納税として受け取った約4600万円の寄付を活用し、地球温暖化対策を視野に入れた取り組みを加速させたいという。

 大崎町は、ごみの焼却施設がなく、埋め立て処分場の容量もほとんどなくなったため、ごみを分別して資源化や堆肥(たいひ)化などを進め、2017年度までに12年連続でリサイクル率日本一を達成。12年度からは、埋め立て処分場の容量がほとんどなくなったインドネシアの複数の地域で、町職員らがリサイクル技術を定着させる指導を実施。ごみの分別は現在27種類。19年には国の「SDGs未来都市」に選ばれた。今年度からは、プラスチック製の使い捨て容器や包装の使用を30年度までに全廃することを目指している。

 こうした町の取り組みが評価され、「Yahoo! JAPAN地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」の対象に選ばれた。脱炭素化に取り組む全国約30自治体から応募があり、選ばれたのは大崎町を含む8自治体。8月、企業版ふるさと納税として約4600万円の寄付を受けた。

 町はこの寄付を活用し、町のリサイクルシステムによって削減できる二酸化炭素を測定・分析するほか、再利用できる容器の開発や回収システムの調査・研究を進める。消費財・素材メーカーなどの企業や環境学・社会学などの研究者の協力を得て進める予定で、協力企業や研究者を全国から募集。町のリサイクルシステムを導入したい自治体も募り、町職員らが指導や助言にあたるという。

 町の人口は約1万3千人。過疎化が進むなか、環境のまちとしての価値を高めることで、定住・交流人口の増加にも期待する。担当者は「ヤフーという有名企業からの寄付は大きなインパクトがある。温暖化防止は世界の大きな課題。小さな町だが温暖化防止の取り組みをさらに前進させ、全国各地に『大崎システム』を展開できれば」と意気込んでいる。(稲野慎)

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