2社のシナジーで、持続可能で豊かな未来に貢献 リースの枠を超えた新たな社会価値を創出

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2021年4月、三菱UFJリースと日立キャピタルが経営統合し、三菱HCキャピタルが誕生した。PMI(統合作業)は順調に進展、さらなる加速を見据える。同社の柳井隆博社長に統合から1年を目前にした手応えと、そのめざす姿を聞いた。

PMIは「想定以上に順調」

三菱HCキャピタルの誕生は、業界地図を塗り替える大型再編として注目されたが、むろん、統合によるシナジー(相乗効果)を発揮することこそが重要だ。代表取締役 社長執行役員の柳井隆博氏は、次のように話す。

「私自身、銀行時代に2度の大規模合併を経験しています。その知見から、統合プロセスにおいては、何よりも社員の“心”が付いてくることが重要と考え、システムの整備や人事制度なども含めて、PMIは必要以上に急がないことを意識しました」

うれしい発見もあった。「社員が誠実でまじめであること、リスクに対する慎重なスタンスなど、旧両社のカルチャーや社員のマインドに共通点が多く、PMIは想定以上に順調に進んでいます。私の感覚では、すでに8割方のめどが立っており、今後、さらに加速させることが十分に可能と考えています」。

代表取締役 社長執行役員
柳井 隆博

旧両社の強みや知見を融合させるために、さまざまなワーキンググループを立ち上げ、精力的に議論を行っているという。経営陣を交えたコミュニケーション施策にも力を注いできた。

「川部誠治会長とともに、社員との交流の場を設けています。コロナ禍であり、オンラインミーティングとなりますが、1回あたり30〜50名の社員と対話を行っています。会社の方向性だけではなく、お互いの経歴や趣味なども語り合うことで、その理解が深まり、社員の前向きな意識、姿勢も実感できました。本年度は30回開催し、1200名を超える社員と交流することができました」

“掛け算の統合”でシナジーを顕在化する

今回の経営統合により経営基盤が強化されたことは、大きな優位性になるだろう。一方、顧客を取り巻く環境は急激に変化している。その中で、同社はどんな強みを発揮するのか。その問いに、柳井氏はこう答える。

「銀行・商社系の三菱UFJリースは、銀行の顧客基盤を中心に幅広いユーザーを有しています。一方で、メーカー系の日立キャピタルは、サプライヤーサイドのソリューションを豊富に擁している。この2つを掛け合わせることで、多くのお客様に、その課題解決に向けたより踏み込んだ提案が可能です。また、両社の事業領域には重複が少なく、今回の経営統合で理想的なポートフォリオを構築できました。旧両社の強みが足し算から掛け算へと移行していく手応えを感じています」

経営統合によって創出された資本余力を活用し、投資面でのシナジーを顕在化させた事例もさっそく生まれている。2021年11月には、米国の海上コンテナリース大手・CAI社※1を買収した。

「この買収により、当社グループのコンテナ保有台数は、世界第2位グループの規模となります※2。当社が有する海上コンテナリース事業における経験、知見に、CAI社のノウハウなどを融合することで、今後の成長ドライバーのひとつとしてさらに強化していきます。また、当社は、広義のロジスティクスという観点で、航空機、鉄道貨車リースやモビリティサービス、物流施設の管理・運営など、バリューチェーンにおけるさまざまな機能を横断的に提供しています。それらを効果的に掛け合わせることで、当社の存在感を発揮していきたいと考えています」

※1 CAI International, Inc.
※2 Drewry社調べ

“業際”をつなぎ、ともに社会価値を創出

今、脱炭素社会やサステナビリティなどが、世界を取り巻く重要なテーマとなっている。三菱HCキャピタルは昨年12月、持続的な成長に向けて6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、公表した。

「当社グループが優先的に取り組むべきテーマとして、6つの『マテリアリティ(重要課題)』を特定しました。特定プロセスにおいては、国内外の多くの社員の意見を反映しています。

私たちは、これらのマテリアリティの重要性を強く認識したうえで、課題解決に向けた実効性のある経営、事業活動に取り組んでいきたいと考えています」

今回の経営統合により、グローバルに多くのステークホルダーとのつながりを構築できたことも大きな強みだ。

「当社は、ほぼすべての業種・業態にお客様を有しており、モノを介して関わっています。モノの動きに連動したデータを『見える化』し、分析・提供することで、お客様の事業、ひいては社会的課題の解決に貢献できるものと考えています。

当社は、“業際”をつなぐ役割を担うことのできる希有な存在ではないかと思っています。当社の強みである、お客様やパートナー企業とのつながりを軸に、ともに社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献していきたいと考えています」

中期経営計画策定に向けた議論を進める

三菱HCキャピタル自身は、中長期的にどのような存在になろうとしているのか。現在、統合後初となる中期経営計画(2023年4月スタート予定)の策定も控えている。

「昨年4月に旧両社の思いを込めて制定した当社の経営理念の実現に向けて、どのように取り組んでいくのか、現在、その議論を進めています。新たな中期経営計画は、グローバルに、社員一人ひとりがともに考え、実行できるものにしたいと考えています。社員が自分ごととして捉え、ポジティブに実践していくこと。これが、当社の価値となり、成長につながるものと思います。

また、中期経営計画の策定に先立ち、当社が描くありたい姿(経営理念)の実現に向けた『経営の中長期的方向性』のエッセンスも2022年5月に公表予定です」

同社がめざす「持続可能で豊かな未来への貢献」は、企業が抱える共通の課題でもある。多くの企業がその課題解決に向けて、模索しているところだろう。

「当社は、幅広いお客様、パートナー企業とのつながりを生かし、当社らしさを有した実効性のある提案を行い、ともに取り組むことで、皆様のご期待に応え、経営理念を実現してまいります」

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