UVERworld/日本武道館

UVERworld/日本武道館 - All photo by 森好弘All photo by 森好弘

●セットリスト
01. AVALANCHE
02. I LOVE THE WORLD
03. stay on
04. PLOT
05. ENOUGH-1
06. 在るべき形
07. シリウス
08. 誰が言った
09. ace of ace
10. Making it Drive
11. Q.E.D.
12. えくぼ
13. ピグマリオン
14. Ø choir
15. ANOMALY奏者
16. ナノ・セカンド
17. Touch off
18. IMPACT
19. EN
20. One stroke for freedom
21. 7日目の決意
22. MONDO PIECE


UVERworld/日本武道館
「音楽の真の力を、試しに行こうぜーっっっ!!」。TAKUYA∞(Vo・Programming)は“IMPACT”のラスサビへと突入する時、そう吠えた。急遽開催が決定し、6月初頭からチケット予約受付が始まった日本武道館の2デイズ「UVERworld “THE LIVE”」。にもかかわらず、立見まで埋まった壮観な光景はUVERworldとCrew(UVERworldファンの呼称)の分かち難い絆を物語っている。2日目、7月21日のパフォーマンスの模様をレポートしたい。

UVERworld/日本武道館
UVERworld/日本武道館
開演時には、ステージ中央の所謂「出ベソ」部分が巨大な立方体スクリーンに覆われ、イントロ映像が映し出されていたのだが、“AVALANCHE”のパフォーマンスとともに幕が取り払われると、吊るされた無数のLEDがコンピューター制御によって縦横無尽に動き、様々な模様を形作る。そんなドットイメージの幻想的な美しさと、まさに反骨の雪崩のように巻き起こるバンドサウンドが渾然一体となり、会場を一息に飲み込んでいった。観客動員数もさることながら、パフォーマンスのスケール感は相変わらず武道館を狭く感じさせるほどだ。

UVERworld/日本武道館
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近作の曲はもちろん、今回のライブは2010年代以降のUVERworldを広く見渡した選曲になっていた。ディジュリドゥやフルートの音色も交えたユニークなラップミクスチャー“ENOUGH-1”や、剥き出しのアティテュードごと性急なロックのアタック感で迫る“誰が言った”辺りは個人的に久々だったし、表現スタイルを進化させてもスピリットの揺るぎない軸を感じさせるセットリストだ。また全編にわたって、ライブアレンジの巧みさを思い知らされるステージにもなっていた。シーケンスを含めた膨大な音数に物言わせるのではなく、バンドの引き締まった演奏は嵐のような激しさと凪のように上質な穏やかさを行き来することで、強烈なダイナミズムを生み出している。

UVERworld/日本武道館
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UVERworld/日本武道館
会場キャパシティの半分しか観客を入れることのできないウィズコロナ時代のライブ活動において、UVERworldは数多くの1日2回公演をこなしてきた。状況によって鍛え上げられた体力と技巧、そこにフルハウスの武道館という光景の喜びが加味され、UVERworldのライブはさらなる次元へと到達しようとしている。

UVERworld/日本武道館
とりわけ素晴らしかったのが、ロマンチックなストーリーを情感たっぷりに歌い上げる“えくぼ”以降の流れだ。TAKUYA∞は「メンタルが強すぎて、人の悲しみをわかってあげられなかった」という自省について語り、そのテーマを落とし込んだ新曲“ピグマリオン”を披露する。ボコーダーのパートも加えられた一人多重コーラスの歌を軸に、人としての成長をバンドの新たな一面として刻みつけたその一曲は、ドットイメージの演出も相まって感動的であった。そして、“Ø choir”のあとに披露された最新インストゥルメンタル曲“ANOMALY奏者”。フューチャリスティックなジャムが、哀愁漂うビッグメロディを掴まえるという、これまた新境地を感じさせる楽曲だ。音源化が楽しみで仕方がない。

UVERworld/日本武道館
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緊迫感と熱量を片時も落とすことなく辿り着いた終盤は、もはや誰ひとりとして逃れることのできない一体感である。この言霊の奔流こそが「歌」だ、という“EN”は今回も圧巻だったが、思わず涙しそうになったのはアンコール的な位置付けで披露された“MONDO PIECE”である。以前なら、Crewたちが一様に肩を組んで体を揺らし、シンガロングしていた名曲だ。しかしCrewたちはその特別な一体感の享受を我慢し、代わりに視界一杯のハンドウェーブを巻き起こしていた。「今」と真っ向から闘うCrewの姿は、まさにUVERworldの表現する精神性を象徴するかのようだ。

この日のライブ終演後には、2022年末にかけての新たなツアースケジュールもニュースとして発表された。苦境に置かれた時ほどしなやかに、そしてどこか楽しんでいるかのように成長・進化するUVERworldの物語は、これからも続いてゆく。(小池宏和)

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