(※1回目はこちら)
日本人材マネジメント協会 土橋 隼人 氏
シンギュレイト 鹿内 学 氏
エクサウィザーズ 石原 直子 氏
EYストラテジー・アンド・コンサルティング 高浪 司 氏
サイダス 中村 亮一 氏
HERP 庄田 一郎 氏
パナソニックオペレーショナルエクセレンス 坂本 崇 氏
Bloom 平原 俊幸 氏
THE COACH 松浦 瞳 氏
THE COACH 吉村 創一朗 氏
ジャフコグループ 坪井 一樹 氏
Funleash 志水 静香 氏
社員一人ひとりのやりたいことや能力を生かしていく
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)では、業務委託によるCHROといった個別の雇用契約も始められました。志水さんは、さらに人事のあり方をどのように変えていかれるのでしょうか。
Funleash 志水静香氏(以下、志水):人事には財務の専門家とチームを組んで人事評価と業績管理を連動させていく一方で、社員一人ひとりのやりたいことや能力を生かしていくという非常に難易度の高い仕事をやってもらっています。「個」っていうと、何千人・何万人もいるから無理なのではと反論されることもありますが、現場のマネジャーと話していれば、その情報も入ってきますし、実際には彼らが1on1をやります。また、人事システムを活用しながら、個人が挑戦し活躍していく場を一緒に探していくこと、自ら挑戦する文化を創りたいと考えています。
一人ひとりの能力やスキルが見える仕組みをつくって、そこから必要なスキルやキャリア支援をあてていくということでしょうか。
志水:はい、個別化で。でも、会社側があてていくということではありません。キャリアは自分で探求し実現するものです。会社が決めてあげていたら、社員はそれに頼ってしまう、これが日本型雇用の元凶です。自分から手を挙げたり挑戦できる環境を整えること、そうした文化が重要です。人事制度は単なる手段にすぎないと思っています。制度がなくても、本人からチャレンジできる仕組みを作っていくのが人事のミッションです。鹿内さんもおっしゃっていましたが、会社や人事にこれをやってもらう代わりに自分はこれをやります、といった交換条件のような考え方は日本企業特有ですよね。会社と個人の関係性はどんどん変わってきています。
シンギュレイト 鹿内学氏(以下、鹿内):人的資本で大事なテーマは会社によって違うと志水さんはお話しなさっていたんですが、イノベーションは共通の課題なのかなと思っています。新しい仕組みづくりとか、新しいツールを導入するという小さいレベルも含めて。例えば、イノベーションにも関わる大学や研究機関などは、改善だけが積み上がった国の予算運用にあって、優秀な人でも研究が続けられないことが多い。特に、若い人には持続可能性がない。その中で考えなければならないのは、イノベーションにより社会の持続可能性をつくることと、イノベーションを次々に生み出せるような持続可能性をつくることの両方だと思っています。そこで人事にできることこそが、全ての企業で共通の課題になると思いました。
志水:賛成です。人的資本を投入してそれを回収していくっていうマネジメント(経営)の部分と、一人ひとりの個を生かして活躍してもらうことの両立は非常にハードルが高いと思います。でもやる意義がある。