スーパーへの来店頻度を増やすにはどうすればいいのか。東日本を中心に出店を進めるベイシア(群馬県前橋市)の社長に7月に就任した相木孝仁さんに、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授が聞いた――。(前編/全2回)

※本稿は、デジタルシフトタイムズの記事「新社長はベイシアをどう『尖らせる』のか。」(9月8日公開)を再編集したものです。

ベイシアの店舗外観
写真提供=ベイシア
ベイシアの店舗外観

ベイシアの「ハリネズミ経営」

【田中】アメリカでもウォルマートやアマゾンをはじめとして、小売はDXが大きく進んでいますし、非常に面白い業界を選ばれていると思います。デジタルシフトタイムズの対談は、直近でイトーヨーカ堂の山本社長にお話をうかがっていますので、今日の対談も業界内で注目されるのではないかと思います。

ベイシアグループというと「ハリネズミ経営」が非常に有名です。それぞれの会社の良さや、業態によって顧客から求められるものは違うので、あえてグループで統一するのではなく、それぞれがハリネズミのように尖った経営をすることで有名ですが、グループの中核企業であるベイシアのハリネズミ経営ではなにを一番尖らせたいと考えていますか?

【相木】そんなに即効性のあるレシピはないと思います。基本に忠実にやるべきことをやり続ける。これがやりきれていないので、本当の意味でナンバーワンになれていないのだと思います。商品から物流、eコマース、ネットスーパーにおいてやるべきことをしっかりやろうと思っています。

【田中】社長に就任されて、これからさらに尖らせていくことが使命かと思いますが現状、他のスーパーと比較してベイシアグループのハリネズミ経営にはどんな特徴がありますか?

【相木】ベイシアグループは「For the Customers(すべてはお客様のために)」という経営理念を持っています。この理念が一人ひとりの社員に深く浸透していることが強みだと思います。店舗はスーパーセンター、すなわち大きなスーパーで豊富な品揃えとお買い得な店舗を目指しており、さらに今は商品の鮮度を強化しているところです。コロナ禍で一つの店舗で買いものを済ませたいというお客さまのニーズに応えるための施策です。