嘘つきでミステリアスでセクシー?花江夏樹と植田圭輔が向き合った「ヴァニタスの手記」主人公の正体

望月淳のマンガを原作とするTVアニメ「ヴァニタスの手記カルテ」は、19世紀のフランスを舞台に、吸血鬼ヴァンピールに呪いを振りまくという魔導書グリモワール“ヴァニタスの書”を探す吸血鬼の青年ノエと、吸血鬼の専門医を自称し、“ヴァニタスの書”を持つ人間・ヴァニタスが織りなすスチームパンクファンタジー。現在放送中の第2クールでは、18世紀に人々から恐れられた「ジェヴォーダンのベート」が再び現れたという噂を聞いたヴァニタスとノエが現地でトラブルに巻き込まれることから、新たな物語が展開していく。

コミックナタリーでは、第1クールに引き続きヴァニタスを演じる花江夏樹と、1月21日に開幕する舞台版でヴァニタス役を務める植田圭輔の対談をセッティング。初対面の2人が、それぞれ向き合ったヴァニタスという人物の魅力、アニメ・舞台それぞれの見どころを語った。

※2022年1月25日追記:舞台「ヴァニタスの手記」の1月21日から26日までの公演は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になりました。

※2022年1月26日追記:舞台「ヴァニタスの手記」の1月29日昼までの公演は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になりました。また、一部キャストが変更となっております。詳細は舞台公式サイトでご確認ください。

取材・文 / 佐藤希撮影 / ヨシダヤスシ

花江さんが演じるヴァニタスはとにかくエロさがすごい(植田)

──本日はTVアニメ第2クールと、1月21日に開幕する舞台版について、それぞれキャストの花江さんと植田さんに見どころなど伺ってまいりたいと思います。まず原作やアニメ第1クールのご感想やお好きなシーンをお聞きしたいです。

花江夏樹 この作品は原作の雰囲気がとにかく独特ですよね。スチームパンク風味の世界観で、なおかつ吸血鬼もの。最初に読んだときは、そういう要素が好きな人をピンポイントに狙った作品なのかなと思ったのですが、読み進めていくうちに、この作品で描いているテーマは割と万人向けなものなのかなと思うようになって。読む人によって捉え方がさまざまに変わってくる作品だなと思いました。

花江夏樹

花江夏樹

植田圭輔 そうですね。第1話のノエのモノローグで「彼(ヴァニタス)をこの手で殺すまでの物語」と言うシーンがあり、そんなふうに謳っている作品はあまりないので、そこに衝撃を受けました。アニメの話で言うと、花江さんがご出演されている作品をいろいろ拝見してきた中で、一番エロいな……と。

花江 (笑)。

──どういう点にエロさを感じたかお聞きしてもいいですか?

植田 いやもう、全部ですよ! 特に吸血されるシーンや、舞踏会のシーンでそう感じました。そもそもこの作品はシリアスでクールなシーンのあとに、急にギャグシーンが来たり、雰囲気がコロコロと変わるので、アニメでは皆さんのお芝居の振り幅がただただすごいなと思っていたのですが、花江さんが演じるヴァニタスはとにかくエロさがすごい。「僕がこれをやるのか……」と思いました。

植田圭輔

植田圭輔

花江 ありがとうございます(笑)。ゲームでは経験があるんですが、アニメではヴァニタスのようなキャラクターを演じることはあまりなかったので、楽しかったですね。

ヴァニタスは今でも掴みきれないキャラクター(花江)

──アニメと舞台という違いはありますが、おふたりは同じヴァニタスというキャラクターを演じています。ヴァニタスを演じるうえで、それぞれどのように役にアプローチされたんでしょうか?

花江 昔ヴァニタスに何があったのかということを踏まえたうえで、それを悟らせないような、仰々しく取り繕った話し方を意識しています。ノエと出会って、彼と関わるうちにだんだんと心の内を明かしていくのですが、彼との会話の中でたまに少しだけ本音が見えるように意識しながら演じました。彼の過去はアニメの第2クールで描かれる「ジェヴォーダンのベート」編から、ようやく明らかになってきますね。

TVアニメ「ヴァニタスの手記」第2クールより、ノエ(左)とヴァニタス(右)。

TVアニメ「ヴァニタスの手記」第2クールより、ノエ(左)とヴァニタス(右)。

植田 なるほど。

花江 ヴァニタスは発言にかなり嘘が多い役で、今でも掴みきれないキャラクターなんです。監督や音響監督に「ここの発言だけは本当のことを言っているので、気を付けて演じてください」と教えてもらいながら収録することもありました。第1クールでは彼の本心を視聴者の方に感じ取っていただけるように、考えながら演じていましたね。

──花江さんは昨年「ヴァニタスの手記」特集(参照:花江夏樹が「ワンシーンごとが絵画みたい」と語る「ヴァニタスの手記」の煌びやかで艶やかな世界)にご参加いただいた際に、ミュージカルのようなセリフ回しを意識しているとおっしゃっていましたが、具体的にはどういうシーンでそういう話し方を意識されましたか?

花江 割と全体的にですね。普段のセリフも歌うような言い回しにしていました。彼の本意がどこにあるのかわかりづらくなるようにという意味もありますし、単純に彼の性格も表現しやすいなと。そもそもヴァニタスはいろんな表情を持っているキャラクターなので、せっかくならいろんな表現をしないともったいないと思っていたんです。監督といろいろお話したときに、歌うように話したら一番ハマりやすい演じ方だと思ったので、そう決めました。

花江夏樹

花江夏樹

──植田さんはいかがでしょう?

植田 舞台のほうは今まさに稽古中なので、そんなに偉そうなことを言えないんですが、原作を読んで、花江さんのおっしゃる通りヴァニタスが抱えているものをしっかりと踏まえたうえで、その感情を自分の中できちんとトレースしながら演じないといけないなと思っている最中です。恐れ多いんですが、少なくとも自分にしかできないような表現の仕方を大事にしつつ、原作のイメージやアニメ版で花江さんが演じてきたヴァニタスの雰囲気に寄り添いつつ、じゃあ自分はどう演じようかと考えています。ただ、謎の多いキャラクターなので、彼の人物像を掴むのはなかなか難しいですね……。

──ちなみに、花江さんの演じたヴァニタスを参考にした部分はありますか?

植田 主にメリハリですね。ご本人を前にこういうことを言うのは、恥ずかしいんですけども……。

植田圭輔

植田圭輔

花江 いえいえ!

植田 例えば舞踏会のシーンでシャンデリアの上に乗って、吸血鬼たちに名乗りを上げるシーンは、カッコよくグワッとまくしたてたあとに、急にコミカルな口調になりますよね。あそこはパッと空気を変えないと成立しないシーンなので、とても参考にさせていただいています!

花江 そうだったんですね、舞台で拝見するのを楽しみにしています!

第2クールは今までよりヴァニタスの本音が出る場面が多い(花江)

──先ほどアニメ第2クールのお話が少し出ましたが、花江さんが考える見どころはどういうところでしょうか?

花江 ノエとの距離が第1クールより縮まっていることもあって、今までよりヴァニタスの本音が出る場面が多いので、そこに注目していただきたいですね。また新キャラも多数登場するので、彼らのことが気になってくる第2クールになるかなと思っています。新キャラは登場したらずっとしゃべっている場面も多くて、たまにヴァニタスが全然しゃべっていないときもあるんですよ(笑)。

花江夏樹

花江夏樹

──ちなみに、第2クールで花江さんが注目してほしいキャラクターは誰ですか?

花江 やっぱりクロエとジャン=ジャックですね。第2クールはクロエたちのことをがっつり描く物語になってくるので。今までよりも濃密な心のやり取りがあり、僕もアフレコに参加していて胸を打たれるセリフやシーンが多かったので、完成した映像を観るのが楽しみです!

TVアニメ「ヴァニタスの手記」第2クールより、クロエ。

TVアニメ「ヴァニタスの手記」第2クールより、クロエ。

TVアニメ「ヴァニタスの手記」第2クールより、ジャン=ジャック。

TVアニメ「ヴァニタスの手記」第2クールより、ジャン=ジャック。

──植田さんは第2クールで期待しているシーンはありますか?

植田 うーん、悩みますね……。僕セクシーなシーンが好きなので、ヴァニタスとジャンヌが温め合うシーンですかね。ドキドキしちゃうと思います!