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MarkeZine Day 2022 Spring

デジタルを駆使した間口と奥行の最大化を実現 エバラ食品の「デジタル×リテールマーケティング」最新事例

 ロングセラー商品「焼肉のたれ」や「黄金の味」を販売するエバラ食品では、マスメディア中心の販促から、近年デジタルを介在したプロモーションを進めている。2022年3月9日、10日に開催された「MarkeZine Day 2022 Spring」では、昨年トライアルグループのRetail AIと手を組み小売店「TRAIL(トライアル)」で実施した、スマートショッピングカートやデジタルサイネージなどデジタルツールを駆使したマーケティングの取り組みについて、実際の検証データを踏まえながら語ってもらった。

「焼肉のたれ」「黄金の味」でトップシェアを走り続けるエバラ食品

 エバラ食品は、1958年設立の調味料メーカーだ。創業当時は業務用のソースやケチャップの製造販売を手がけていたが、1960年代後半、外食での焼肉の人気に着目した創業者が「焼肉を家庭に持ち込めないか」と考え、1968年に「焼肉のたれ」を発売した。

 「焼肉のたれ」の発売以降、流通する肉質の向上とともに、肉をたれに漬け込んでから焼く“漬け込み”から、肉そのものの味を楽しむ“素焼き”という食べ方に変わっていく。素焼きで食べることを想定し、たれもおいしくする必要があると考え、1978年に誕生したのが「黄金の味」だ。フルーツをたっぷり使った高級感のあるたれは、発売から40年以上経った今でも同社の国内トップシェアの座を支えている。

 なお売上構成比を見ると、グループ全体の約82%が食品事業、そのうち家庭用商品が7割近くを占めているような状態にある。

 このセッションで登壇した藤原亮太氏が属する、マーケティング部マーケティング課は、エバラ食品の包括的なマーケティングデータ分析業務を担う。「データで『ブランド』を磨く」、「データで『社員』を磨く」の2つを大きな切り口としていて、前者には外部パートナーとの連携によるデータ分析、部門内外の仮説立案のサポートやROIの最大化といった業務が含まれる。

2021年度 マーケティング部 マーケティング課の役割
2021年度 マーケティング部 マーケティング課の役割

食品業界を取り巻く環境変化を分析

 続いて藤原氏は、「エバラ食品が取り組むデジタル×リテールマーケティング」の具体的な取り組みを話す前に、食品業界を取り巻く環境変化について説明した。

 提示されたのは「外部環境」「業界」「流通」「プロモーション」の面からの変化と、その変化に対応するための方向性。1つ目は、外部環境の変化について。日本では少子高齢化社会が進み、人口も2021年の1億2,600万人から2060年には8,600万人にまで減少すると予想されているように、少子高齢化・人口減少は多くの人も共感するところだろう。

 さらにPEST分析を用いてみると、失われた30年ともいわれる経済の低迷や雇用悪化(消費抑制)、共働き世帯・在宅勤務の増加などの社会的環境要因やテクノロジーの発達による技術的環境要因など、様々な変化も見えてくる。

 「そうした中で売上を維持するためには、外部環境との整合性を意識しつつ『間口(トライアル率)と奥行(リピート率)の最大化』が必須と考えています」と藤原氏は語った。

 2つ目は、カテゴリーをまたいだ競争の激化や、商品のコモディティ化に見られる業界の変化だ。情報過多でモノがあふれる現代において、一般消費財が機能面での差別化を図るのは難しい。そのため生活者インサイトの深掘り、情緒的価値の構築が必要となっている。

 3つ目の流通に関しては、業界でもECの販売傾向は伸長しているものの、食品の収益の源泉はリアル店舗での販売にあることから、店頭企画採用率の向上やデジタルプラットフォームの影響度を検証する場を求めていた。

 4つ目のプロモーションにおいては、売上の影響度を分析するとテレビCMの影響が高い状態にあったが、「プロモーションが多様化している中でもROIを可視化し、最適なリソース配分を検証できる必要があった」と藤原氏は解説する。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/03 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39058

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