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SDGsの「お手本」期待された東京五輪 専門家「むしろ後退」

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東京オリンピックのために建設された国立競技場=2021年7月22日、本社ヘリから
東京オリンピックのために建設された国立競技場=2021年7月22日、本社ヘリから

 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現を目指した東京オリンピック。気候変動対策など、五輪での先進的な取り組みを「ショーケース(お手本)」として世界に広げることが期待されていたが、新型コロナウイルス感染再拡大のさなかでほとんど注目されなかった。専門家は五輪の成果をどう見ているのか。生態学が専門で、生物多様性に配慮した活動に取り組む企業グループ「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」事務局長の足立直樹氏に聞いた。【永山悦子】

「ロンドン五輪を超える」どころか…

 ――大会組織委員会はSDGs実現に貢献することを目指し、運営方針では、気候変動対策▽資源の有効利用▽自然や生物多様性の保全▽人権などへの配慮▽参加・協働の実現――を柱に掲げました。

 ◆国際オリンピック委員会は1996年に五輪憲章を改定し、五輪においても持続可能性を重視することを明記しました。90年代に開催されたリレハンメル冬季五輪や長野冬季五輪でも、環境に配慮した取り組みがされています。92年に開かれた「地球サミット」が影響したと考えられます。

 最近では、2012年のロンドン五輪が「持続可能な五輪」として評価されています。木材の調達は厳しい国際認証にのっとり、照明の代わりに太陽光を活用するなどしたほか、NGOも参加する第三者組織を作って環境に配慮しているかどうかのチェックを受けました。

 16年のリオデジャネイロ五輪も「持続可能な調達の継続」を目標に掲げ、海産物やパーム油などの調達についても、環境に配慮した認証を取り入れました。また、ロンドンもリオも、公平・公正な方法で生産され、適正な価格での取引を推進する「フェアトレードタウン」の認定を受けています。

 ですから、東京五輪は「少なくともロンドン五輪を超える取り組みを」というところからスタートしたはずです。私が理事を務める日本エシカル推進協議会など、多くの組織や個人がその実現を後押ししようと、さまざまな提案をしてきました。

 ――「ロンドン五輪を超える」という目標は達成できたのでしょうか。

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