アップルのターゲット広告排除に対抗するアドテク企業の挑戦

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広告会社のデータによると、アップルがiOSで行ったターゲット広告の規制で、モバイル広告主の投資収益率(ROI)は40%近く低下し、モバイル広告費を25%減少させたという。広告の効果測定を困難にするこの規制は、フェイスブックに100億ドルの損失を与え、スナップ(Snap)の株価を25%も下落させた。

そんな中、アップルの規制を遵守しつつ、広告効果を測定できると宣言したのが、広告テクノロジー企業のSingularだ。同社のCEOのGadi Eliashivは5月18日の声明で、「ユーザーのプライバシーを100%守りつつ、マーケティング担当者のためのデータとツールを提供していく」と述べた。

Singularは、高度なAI(人工知能)とデータサイエンスによって、以前と変わらぬ価値を広告主に提供するソリューションを開発したという。同社は、高度なモデリングや機械学習によってそれを実現するとEliashivは述べている。

アップルのプライバシー保護の強化より、広告効果についてのデータ入手が制限され、広告クリック後のコンバージョンデータの取得が困難になった。しかし、Singularの新しいソリューションの「SKAN Advanced Analytics」は、失われたデータをモデル化し、広告費の回収率や、新規顧客のLTV(ライフタイムバリュー)などの指標を導き出す。

Eliashivは、彼らが導き出す指標の精度が「平均して87%から90%に達している」と述べている。

これは、広告キャンペーンの効果を測定するにあたっての十分な精度であり、広告主がより効率的な広告運用を行うことを可能にし、ブランドがより多くのマーケティング費用を投下することにつながるのかもしれない。

SKAN Advanced Analyticsのベータテストに参加したQiiwi GamesのCTOであるMarcus Daleは、「Singularのソフトウェアスイートは、我々の広告運用を大幅に改善した。データ収集とBIモデルを最適化し、将来の収益を正確に予測できるようになった」と述べている。さらに、人気ゲーム「アングリーバード」の開発元のRovioも、その効果を認めている。

Singularのツールには、アップルが提供するSKAdNetwork のデータを最大化するソフトウェアや、広告キャンペーン最適化のためのリアルタイム予測分析、イベントやコンバージョンをモデル化するツールが含まれている。これにより、マーケティング担当者が広告キャンペーンの効果を長期的に測定することが可能になるという。
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編集=上田裕資

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