日本糖尿病教育・看護学会誌
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実践報告
インスリン自己注射に抵抗を示す患者への行動変容に向けた支援
―高齢独居で片麻痺患者の一事例―
橋野 明香森山 美知子
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2019 年 23 巻 1 号 p. 52-59

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抄録

片麻痺患者であるA氏は高齢独居であり,血糖管理目的で入院した.慢性疾患看護専門看護師(以下,CNS)がインスリン自己注射を拒否したA氏に行った支援内容を明らかにする.

包括的アセスメントにより,A氏は自立心の高い女性であり,インスリン自己注射の同意が得られれば手技を工夫して自己注射ができると判断した.

そこで,動機づけ面接を行い,A氏の持つ両価性に気づかせ,「インスリンをしないといけない」というチェンジトークを引き出した.健康信念モデルに基づき,「罹患性」を強化し「有益性を高める」ための情報提供と食事療法への意欲を承認し,「障害」を軽減させ「行動のきっかけ」を強めるため,薬剤師による教育を依頼し,専用BOXを作成した.

その結果,「やってみる」「食事療法も頑張る」と目標を設定し,導入に至った.

CNSは,心理社会的特徴,身体機能を包括的に評価し,動機づけ面接と健康信念モデルに基づいた介入を行い,A氏の変化を促していた.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会
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