スーパーマーケット大手の西友と楽天グループらは2022年3月10日、「楽天ポイント」を軸とするOMO(Online Merges with Offline)戦略の新協業体制を本格展開すると発表。西友が楽天ポイントを導入することで「楽天経済圏」へと移行し、アプリを通じネットスーパーと実店舗の連携を強化する。その狙いは西友だけにとどまらないようだ。
「楽天ポイント」などを本格導入、西友が楽天経済圏に
かつて米Walmart(ウォルマート)の子会社だったスーパーマーケット大手の西友。2021年にウォルマートが投資ファンドなどに多くの株式を売却し子会社ではなくなったが、その際ウォルマートと2018年に提携していた楽天グループの子会社が2021年に西友の株式の20%を保有したことから、西友は徐々に楽天グループとのつながりを強めている。
その西友と楽天グループが2022年3月10日に発表会を実施。オフラインとオンラインを融合したOMOの戦略を、2022年4月より本格展開すると発表した。西友と楽天グループは2018年より、合弁会社を設立してネットスーパーサービス「楽天西友ネットスーパー」を共同展開しているが、その関係をオフラインの実店舗にまで拡大するのが今回の狙いだ。
今回の施策による最も大きな変化は、運営する「西友」「リヴィン」「サニー」の全店舗で、楽天グループの「楽天ポイント」や、「楽天カード 西友デザイン」「楽天Edy」などの決済サービスが利用できるようになることだ。西友は既に「楽天ペイ」など楽天グループ関連の一部サービス導入はしていたが、今回の取り組みで西友は楽天グループの決済サービスを全面的に採用することとなる。
一方で、従来提携関係を結んでいたクレジットカード会社のクレディセゾンは、西友側の意向により2022年3月31日をもって提携を終了することを発表。クレディセゾンのクレジットカードを西友で利用するとお得になる特典は順次終了するとしている。こうした点からも、西友が楽天グループのサービスへのシフトを図ろうとしていることが明確だと分かる。
そしてこの動きは、西友がオンラインだけでなくオフラインにおいても、楽天ポイントを軸とした「楽天経済圏」の中に入ることにもつながってくる。それが楽天経済圏に取り込まれている人たちにメリットを与え、実店舗への送客につながることは確かだが、両社が打ち出しているOMO戦略はオフラインへの送客だけが狙いではない。